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ISS「きぼう」から意図せず衛星放出…米企業の超小型衛星放出機構で

宇宙 企業動向

2014年9月5日、NASAは国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」を利用する、米NanoRacks社の超小型衛星放出機構から、ISSクルーも地上管制官も意図しない衛星放出が行われていたことを公表した。

9月5日付のミッション報告によれば、第40次ISSコマンダーを務めるNASAのスティーブ・スワンソン宇宙飛行士は、「きぼう」の小型ロボットアーム先端に把持されていたNanoRacks(ナノラックス)社の超小型衛星放出機構の先端のふたが開いていた件を調査した。その結果、放出機構におさめられていた2機の超小型衛星は、クルーおよび地上管制官の誰もが気付かない間にISSから軌道上に放出されていたと結論付けたという。

ISSに取り付けられたカメラにも、放出の瞬間をとらえた映像は残っておらず、実際にいつ放出が起きたのかは不明だ。協定世界時に合わせて生活するISSでの夜間に起きた可能性が高く、その数時間前に日本の管制官が放出機構のふたを開けようとロボットアームを軽く動かす操作を行っているという。NASAでは、ロボットアームを操作して放出機構をエアロックから「きぼう」船内に戻す、またはさらに機構内に残っている衛星を放出する試みを行うか検討中だとしている。

ナノラックスの超小型衛星放出機構にセットされていたのは、米地球観測衛星ベンチャーPlanet Labs(プラネット・ラボ)社のDove衛星だ。今年8月21日、22日に予定されたDove衛星の放出を実施したところ、不具合により衛星は正常に展開されず、原因と対策の調査のため放出機構はロボットアームが掴んだ状態でおかれていた。

ナノラックス社による9月3日の発表では、衛星放出機構のコマンドボックスを交換する必要があるとし、新たな部品を輸送船でISSへ打ち上げる準備をしているという。同社の資料によれば、放出機構内の衛星はふたが開くとレールに沿って滑りだすように展開される仕組みだ。衛星との電気的なインターフェイスは備えておらず、衛星の充電池の充電などはできない。衛星の初期動作のために搭載された一次電池が切れていれば、Dove衛星は機能しない可能性がある。

ナノラックス社の超小型衛星機構は、1辺が10センチの規格に沿った超小型衛星、キューブサットを「きぼう」の小型エアロックからロボットアームでISSの外に取り出して放出、軌道上に展開する機械だ。衛星は、梱包して保護された状態でISS輸送船に搭載して軌道上に届けられ、放出前に担当の宇宙飛行士が衛星を目で見て状態を確認することができる。そのため、ロケットに大型の衛星の相乗りするよりも、打ち上げ時の技術的ハードルが低い。今年5月まで約6カ月間ISSに滞在した若田光一宇宙飛行士は、1月にISS民間輸送船「シグナス」が届けたDove衛星を数度にわたってナノラックス放出機構から軌道上に展開するミッションを実施しており、展開は成功している。
《秋山 文野》

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