宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、米国航空宇宙局(NASA)と共同開発したGPM主衛星が取得する降水データの一般提供を9月2日から開始した。
同衛星は地球の降水観測を目的に、日本が開発した二周波降水レーダDPRが搭載されている。衛星ではこれまで、データ精度を向上させる校正作業を実施してきたが、JAXAの地球観測衛星データ提供システム「G-Portal」から一般ユーザへGPMプロダクトの提供を開始したもの。
DPRプロダクトは、GPM主衛星に搭載されているDPRによるレーダ受信電力と、そこから降水に関する物理量を算出した成果物。DPRレーダ受信電力プロダクト(レベル1)はJAXAが開発し、DPR降水物理量プロダクト(レベル2、3)はJAXAとNASAが共同開発した。
全球合成降水マップ(GSMaP)プロダクトは、GPM主衛星データと複数のコンステレーション衛星群データから全球の降水分布を算出する成果物で、JAXAが開発した。
JAXAが2012年5月に打ち上げ、現在運用中の水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)もコンステレーション衛星群の一つとして、GPM計画に参加している。GSMaPは緯度経度0.1度格子、1時間の分解能を持ち、観測から4時間以内に提供する。衛星データに加え、地上雨量計データも使用したプロダクトを観測から約3日後に作成、提供する。
これらのGPMプロダクトによって、全球の降水をこれまでより正確に把握できるようになり、気象庁などの各国気象機関におけるデータ同化による、天気予報精度向上や台風の進路予測に利用される。アジアなどの途上国における洪水対策などにも利用される予定。