江差線第三セクター化に向け準備会社設立

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三セク会社が引き継ぐ江差線(赤)とその周辺のJR線。三セク会社の列車は函館本線に乗り入れて函館駅まで運転する。
  • 三セク会社が引き継ぐ江差線(赤)とその周辺のJR線。三セク会社の列車は函館本線に乗り入れて函館駅まで運転する。
  • 江差線は電化されているが、旅客列車は三セク会社がJR北海道からキハ40形気動車を譲り受けて運行する。

北海道と函館市、北斗市、木古内町は8月1日、江差線の経営を引き継ぐ第三セクターの準備会社「北海道道南地域並行在来線準備株式会社」を設立した。2015年度末の開業に向け、準備が本格化する。

江差線は五稜郭(函館市)~上磯(北斗市)~木古内(木古内町)間37.8kmを結ぶJR線。五稜郭駅で函館本線、木古内駅で海峡線と接続しており、本州側で海峡線と接続している津軽線を含む青森~函館間が津軽海峡線として列車が一体的に運行されている。木古内駅から線名の由来となっている江差駅までの区間は今年5月に廃止された。

江差線は北海道新幹線新青森(青森市)~新函館北斗(北斗市)間の2015年度末開業にあわせてJR北海道から経営が分離されるため、北海道道南地域並行在来線準備は同線を引き継ぐ第三セクターとして設立された。設立時の出資金は2億2600万円で、出資比率は北海道が80%、沿線の函館市と木古内町が各4.4%、北斗市が11.2%。社長には北海道の荒川裕生副知事が就任した。

北海道と沿線3市町が取りまとめた経営計画最終案によると、単線・交流電化の江差線の設備を第三セクター鉄道会社が引き継ぐが、旅客列車は採算性を考慮して気動車で運行。第三セクター鉄道会社はJR北海道からキハ40形気動車9両を譲り受ける。運転本数と時刻は現行の普通列車を基本とし、三セク鉄道会社の列車が五稜郭駅からJR函館駅まで乗り入れる。JR貨物が運行する貨物列車は現行と同じ電気機関車によるけん引とする。

運賃水準は現行JR運賃と比較しておおむね1.3倍程度に値上げするが、JR函館駅と三セク鉄道会社区間内の各駅間を普通乗車券で利用する場合は、平均50円の乗継割引を適用する。

北海道道南地域並行在来線準備は今後、2015年度末の開業に向けて準備を進める。現在の社名は準備会社としての性格が強く出ているため、10月上旬にも新社名を一般から募集し、12月下旬に社名を変更。2015年3月には鉄道事業法に基づく鉄道事業許可を申請し、6月頃の事業許可取得を目指す。また、2015年夏頃をめどに増資するとともに、本社を札幌市内から函館市内に移す予定だ。

《草町義和》

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