【マツダ デミオ プロトタイプ 試乗】本気度が感じられる下克上デザイン…井元康一郎

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マツダ・デミオ SKYACTIV-G 1.3 プロトタイプ
  • マツダ・デミオ SKYACTIV-G 1.3 プロトタイプ
  • マツダ・跳コンセプト(ジュネーブモーターショー14)
  • マツダ・デミオ SKYACTIV-G 1.3 プロトタイプ
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  • マツダ・デミオ SKYACTIV-G 1.3 プロトタイプ
  • マツダ デミオ SKYACTIV-D 1.5 プロトタイプ
  • マツダ・デミオ SKYACTIV-D 1.5 プロトタイプ
  • マツダ・デミオ SKYACTIV-D 1.5 プロトタイプ

マツダは今秋、主力コンパクトカー『デミオ』の第4世代モデルをリリースする。そのプロトタイプに触れる機会を得たのでリポートする。

新型デミオのスタイリングはマツダが現在展開中の「魂動デザイン」コンセプトが反映されたものだ。意匠性の高い大型ヘッドランプや大開口グリルでくっきりとした表情作りを行い、ボディサイドにも深々とした彫りをつけて躍動感を出している。唯一、あっさり気味なのはリアビュー。「リアセクターは現行モデルでもお客様から好評をいただいているのと、デミオのアイデンティティの継承性を考えてデザインした」とは、エクステリアデザイン担当者の弁。

このエクステリアデザインがコンセプトカーとして初めて披露されたのは、春のジュネーブモーターショー。その写真を見た時は「いくら何でもコンパクトカーでこのデザインはくどいのではないか」と思ったのだが、現地在住のフランス人ジャーナリストは「実物は格好よかったよ」と言っていた。果たして実車を目の前にすると、最初の一瞬はディテールの複雑さにぎょっとさせられるようなインパクトがあるが、5分も経てば見慣れてきて、非常にヴィヴィッドなイメージに変わっていった。なかなかパワフルなデザインである。

インテリアは「世界のベンチマークになることを目指した」(インテリアデザイン担当者)との言葉に表れているように、随所に遊びを積極的に盛り込んでいる。大衆車ゆえ、質感そのものを上げるのには限界があるが、ドアトリム、ダッシュボードなどの樹脂成形部品の形状が統一感のあるオーガニックデザインとなっており、安っぽく見えない。

インテリアにはノーマルのほか、シートに赤いラインが入ったスポーティなものや、ユーロプレミアムコンパクトを彷彿とさせるホワイトレザーを使用したものなど数種類ある。ノーマルも悪くはないものの、新型デミオを買うなら上級インテリアを積極的に選びたいと思わせるような仕上がり。また、インテリアがやや陰気なのが玉にキズだった『アテンザ』、『アクセラ』に対して完全に下克上状態で、ブランドイメージを高めるためには社内のヒエラルキー崩壊も辞さないというマツダの本気度が大いに感じられるものだった。

デザイン性だけでなく、ドライビングポジションが非常に決まりやすいこと、コーナリング時に体の踏ん張りがききやすいようセンターコンソールにニーパッドが装備されていることなど、ドライビングの面でも随所に熟考の形跡がかいま見えるインテリアであった。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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