神戸製鋼、世界初の高強度材の認証取得…高疲労強度クランク軸と舵用鋳鍛鋼部材

船舶 テクノロジー

神戸製鋼は7月15日、高疲労強度クランク軸と舵用鋳鍛鋼部材で世界初の高強度材の認証を取得した、と発表した。

同社は、昨年開発を完了した船舶ディーゼルエンジン用組立型クランクシャフトの「型入れ鍛造法」に関して、日本海事協会より「設計疲労強度向上」の認証を世界で初めて取得した。これにより、「当社の型入れ鍛造法を採用することによりクランクスローの疲労強度が向上する」ことが公的機関から承認されたことになる。

今回の認証は、具体的には、国際船級協会連合(IACS)のクランク軸設計規則に従い、型入れ鍛造法によるクランクについては、設計疲労強度計算式における製造係数(K-factor)について、5%のマージンに相当する「K=1.05」の認証が与えられた。

現在、船舶に関しては関係規制強化の問題や、船舶燃料価格高騰に端を発する燃費改善要求の高まりから、いわゆる「エコシップ」のニーズが高まっている。このエコシップの開発には、抵抗を減らす「船型開発」や排出ガス量及び燃費を改善する「エンジン開発」などが重要になる。

特に「エンジン開発」については、スクリュープロペラの大径化とエンジンの低速回転化の流れにあり、低速回転域で高出力が得られるエンジンが求められている。これを満足させるため、エンジンは益々ロングストローク化の傾向にあることから、クランク軸のスローは従来に比べ長く・重いものとなり、負荷応力や軸受荷重が増大する傾向にある。

これを受けて今回同社が開発し日本海事協会より設計疲労強度係数の認証を受けた「型入れ鍛造法」は、製鋼からの一貫鍛鋼メーカーであるという同社の強みを生かした技術開発によって、クランクスロー素材の疲労強度を従来の折り曲げ製法のものと比べて、実質20%程度向上することを実験で確認できている。

これによって、ロングストローク化したクランクスローの信頼性向上に加え、クランクスローを軽量化することが可能となる。

加えて今回同社は舵用鋳鍛鋼部材における高強度化を進め、従来品より60%の設計強度向上を実現した。これにより舵用部材を小型薄肉化することが出来る為、船速や燃費向上が可能となる。尚、この高強度化部材は既に各国の船級の承認を取得している。

同社では、この「型入れ鍛造法」「舵用鋳鍛鋼部材の高強度化」だけでなく、素材面で舵用部品の高級化に資する技術シーズ・研究開発体制を備えており、いかなる顧客ニーズにも対応していくことで、海運・造船業界の発展に貢献してゆく、としている。

《山内 博》

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