超小型衛星ソクラテス IKAROS搭載の同型カメラ映像で光通信実験へ

宇宙 テクノロジー

2014年6月25日、情報通信研究機構 NICTは、同機構が開発し5月24日打ち上げのJAXA「だいち2号」の相乗り小型副衛星として打ち上げられた超小型衛星『SOCRATES(ソクラテス)』で行われる宇宙光通信実験の状況について説明した。

ソクラテス衛星は、NICTと株式会社エイ・イー・エスが共同で開発。エイ・イー・エスは超小型衛星バスの開発を担当し、NICTはミッション機器の衛星と地上を結ぶ光通信モジュール「Small Optical Transponder:SOTA(ソータ)」および光学カメラの開発、製造を担当した。

衛星は打ち上げ後の最初の通信に成功し、6週間ほどかかる機器のチェックアウトを行っている。今後は、1年ほどかけて衛星と地上で、地上の光ファイバー網と同じ1550ナノメートル(1.5ミクロン)波長の光を用いた光通信実験を行う。1550ナノメートル帯の光は、目の組織への影響が小さいことから衛星光通信に採用される波長の中心となりつつある。口径60センチメートルの望遠鏡で集光し、目に直接レーザー光が当たる、といったことをしない限り人体への影響はないという。衛星が発する光を肉眼で見たとしても危険はない。

SOTA光通信モジュールでは、ビーコン光と呼ばれる地上局と衛星がお互いの位置を捕捉するための弱い光を使った捕捉技術、秒速約7キロメートル(時速約2万5200キロメートル)で移動し続ける衛星の移動方向と距離を予測して追尾し、通信光を照射する技術の実証を行う。また、光通信のレーザー光は大気のゆらぎの影響を受けることがわかっている。その解決のために基礎となるデータを収集することも目的となる。

衛星光通信の応用として、データ量の大きい地球観測衛星の画像などのデータ送信が見込まれている。ソクラテス衛星には、JAXAのソーラーセイル実証機「IKAROS」に搭載されたカメラと同型の東京理科大学 木村研究室が開発した超小型衛星搭載用地球カメラ(CAM)が搭載されている。CAMは1280×1024ピクセル、画角約80度の撮像機能を持ち、実証の後半ではCAMで撮影した映像を光通信で地上に送信する実験も行う予定だ。

日本では、2005年に衛星間光通信に世界で初めて成功した「OICETS(きらり)」などで光通信の実証を行ってきた。今回、OICETSに搭載された重さ140キログラムの光通信装置LUCEを、重さ6キログラムまで大幅に小型化したSOTAを用いて、2009年に運用終了したOICETS以来、5年ぶりの軌道上実証を行う。2015年には、東京大学の「ほどよし衛星」シリーズ2号機で東北大学が主に開発を担当した「RISESAT」にSOTAよりもさらに小型の光通信モジュール「VSOTA」が搭載され、H-IIAロケットで打ち上げられる予定だ。

NICT ワイヤレスネットワーク研究所 宇宙通信システム研究室の高山佳久研究マネージャーによれば、地球観測衛星など、大きなデータを取得する人工衛星では、大容量・高速通信への需要が増大している。1ギガビット/秒を越えるデータ伝送速度の需要も見込まれ、衛星搭載の装置が小さくても大容量のデータを送受信できる光通信技術が必要になってきているという。NICTは、国際的に検証が急がれる衛星光通信の技術要素のなかで、大気と気象の影響に関する検証の取りまとめを担当している。日本や欧州の光通信衛星、アメリカの深宇宙光通信探査機などのデータを元に、各国が連携して衛星光通信の実用化へ進むという。
《秋山 文野》

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