電動バイク活用はガソリン高騰対策の妙案…プロッツァ ミレットLi500

エコカー EV
プロッツァ ミレットLi500。一般的なスクータースタイルよりも軽快感を強調したスタイリングが特徴。実際の車重もライバルより大幅に軽く、女性にも扱いやすい。ボディカラーは7色あり、このビビッドピンクは女性向けだが、ブルーメタリックやパールブラックなら男性にもにあう。
  • プロッツァ ミレットLi500。一般的なスクータースタイルよりも軽快感を強調したスタイリングが特徴。実際の車重もライバルより大幅に軽く、女性にも扱いやすい。ボディカラーは7色あり、このビビッドピンクは女性向けだが、ブルーメタリックやパールブラックなら男性にもにあう。
  • プロッツァ 広報課の寺西 亮氏。今回は電動バイクの経済性についてお聞きしたが、話は自社開発したミレットの魅力にもおよび、熱く語っていただいた。
  • 昨年の東京モーターショーにも出展。予想以上の反響で、バイクに興味のなかった人にも反響が大きかったという。
  • 同じく昨年の東京モーターショー。試乗では初めてスクーターに乗る人でも楽に扱えると好評だったそうだ。
  • プロッツァ ミレットLi500 パールグリーン

ガソリン価格の高騰が続いている。いつの間にか慣らされてしまった感もあるが、改めてガソリンスタンドの看板を見ると、そこに表示されている数字はもう悪夢のようだ。このガソリン価格の高騰を前に、なんとか自衛を、と考えている人も多いだろう。

◆ガソリン価格に超攻撃的フォーメーションで挑む

究極的には車を手放すという選択肢もあるが、実際問題として、都市部以外では車を手放す訳にはいかない人のほうが圧倒的に多いはずだ。もちろん、車が好きだから手放さないという人だってたくさんいる。では、愛車を減らすのではなく増やすという超攻撃的な発想でガソリン代や移動に関わるトータルコストを節約することはできないか。

この方法、誰しも一度は考えたことがあるかも知れない。メインのスポーツカーの燃費が悪いから軽自動車と組み合わせて、あるいはミニバンが必要だけど近所の移動はコンパクトカーで、といった具合だ。しかし、こうした「自動車+自動車」の増車では燃料費は減らすことができるかもしれないが、駐車場代や保健代などのためにトータルな出費が減ることはなく、かえって増えてしまうケースが多い。ガソリン節約効果があっても、その金額で増車した車両の車両代金や維持費まで取り返すことは到底できないからだ。

では、増車するのが自動車ではなくオートバイなら、それも、このところ急速に普及が進んでいる電動バイクならどうだろうか。車があるから近所の買い物も車を使ってしまうという人が多いが、そういった用途はスクーターでも十分なはず。あるいは車通勤を雨が降っていない日だけスクーターで、ということも考えられる。これならガソリン節約効果は高そうだ。そこで、電動バイクの人気モデル「ミレット」を展開するメーカー、プロッツァに取材した。

◆ミレットLi500は10km走るのにたったの4円

プロッツァが製造する電動バイクの最新モデル「ミレットLi500」はバッテリーにリチウムイオンを採用し、実用上不安を感じさせない走行性能と航続距離を実現。性能とバランスのとれた価格やデザイン性の高い外観でこのジャンルをリードする人気モデルとなっている。

今回はコスト面を中心に話を聞いた。まず気になるのは、電動バイクの「電費」だ。日産リーフのような電気自動車でもガソリン車の燃費より圧倒的に安上がりなのはよく知られているが、これが電動バイクとなるとどれくらい安いのか。プロッツァによると、「ミレットLi500」が10km走行するのに必要な電気料金は、約4円だという。ものすごく安そうな感じがするが、ガソリン車の燃費と直接比較できないのでわかりにくい。

計算してみよう。軽自動車以外の普通車の平均燃費は、エコカーを含めても13~14km/リットル。これはカタログデータではなく、燃費管理・情報コミュニティサイト「e燃費」の算出した実燃費のデータだ。1リットルで14km走るということは、10kmを走行するのに必要なガソリンは約0.71リットルとなる。現在のガソリン価格は、これも「e燃費」のデータによると、レギュラーの全国平均が約160円。計算すると、ガソリン車が10kmを走行するのに必要な金額の平均は約114円となる。同様に軽自動車も計算すると、約106円だ。

ということは、電動バイクの電費は、ガソリン車のわずか30分の1程度となる。例えば10kmほどの勤務先に通勤するとき、自動車なら往復で228円かかるが、電動バイクなら8円しかかからない。1ヶ月で23日通勤すれば、これだけで5060円もの節約になる。

◆車両価格や維持費を考慮しても支出減に効果

もちろん、実際に「ミレットLi500」を購入するとなれば、車両価格やさまざまな維持費がかかる。車両価格はメーカー希望価格でいえば18万円(税別)だが、実勢価格は税込みで16万円前後。同モデルは法規上は原付1種なので、自動車税が年間1000円、自賠責保険が年額7280円かかる。ただし、自賠責保険は自動車と違って好きな期間を選んで加入することができ、期間が長いほど割安。3年なら1万2410円と、年額4136円相当しかかからない。

こうした数字から算出すると、「ミレットLi500」を3年間所有したときの総費用は17万5410円になる。36で割って月額にすると、約4870円だ。前述した通勤でのガソリン節約額を下回っている。

つまり、毎日20km程度を自動車での走行から電動バイクに置き換えれば、電動バイクを買わないより買ったほうが総支出は少なくなる。これはちょっと驚くべき結果ではないだろうか。そもそも、車両の購入価格まで含めてガソリン代の節約でペイしようというのは、相当に高いハードルなのだ。簡易的な計算とはいえ、電動バイクならそれが可能なのである。

任意保険の料金が入っていないとか3年も使えばバッテリーを交換しなきゃいけないんじゃないかといったツッコミが入りそうだが、この計算は車両価格をわずか3年で償却するという厳しい前提になっているし、自動車のメンテナンス費用や残存価値も考慮していない。自動車は走行距離が減ることでタイヤをはじめとする消耗部品の交換サイクルが長くなるし、車を手放すときの価格も有利になるのだ。ちなみに、バッテリーが3年で交換になるかはなんとも言えないが、参考までにバッテリーの価格は6万円だ(脱着式バッテリーなので交換工賃は不要)。

自分の乗っている自動車がもっと低燃費だったり走行距離が短ければ計算の前提が崩れることになるが、そもそもガソリン価格の高騰に対して切実に何とかしたいと思っている人は、燃費があまり良くないクルマに乗っていたり走行距離が長かったりするはず。「e燃費」の平均燃費を見て、「自慢じゃないがオレのクルマはもっと燃費が悪い」という人はかなり多いはずで、そんな人なら1日あたりの走行距離の「損益分岐点」はグッと短くなる。

◆まさに現代のモペット、単純に欲しくなるデザインだ

かつて、日本で原付スクーターが大流行したことがあり、ユーザーの中には自動車との併用で家計の出費を減らすことを目論んだ人も多かった。しかし、当時のスクーターは数日乗らないとエンジンがかからないといったことが頻繁にあったうえに、2ストロークエンジンは騒音と悪臭とオイルをまき散らし、そして何よりも、燃費がさほど良くなかった。

それと比べると、最新の電動バイクはまさに未来のコミューターだ。しばらく乗らないから調子が悪くなるなどといったことはないし、騒音や排気ガスとも無縁。以前は不安要素だったパワーや航続距離も改善されている。

プロッツァの「ミレットLi500」の場合、先代モデルよりも大幅にパワーアップしながら、航続距離は35kmから40kmに伸びた。自動車の感覚だと40kmは短いが、原付バイクと考えれば1日で40kmはなかなか走れるものではない。発売から2年近く経過しているが販売は極めて好調で、性能面だけでなくデザインや、車重わずか52kgという扱いやすいボディも評価されている。

自転車のようなペダルが装備されているたり、まさに現代のモペットという雰囲気で、デザインもなんとなくヨーロッパのテイストを感じさせる。フィアット『パンダ』やルノー『カングー』に通じる、高級感の追求と決別した価値観だ。フランス車やイタリア車、あるいはMINIなどが好きな人なら、このデザインには反応してしまうだろう。しかも、ガソリン節約効果で買わないより買ったほうが家計の支出が減る、となればその可愛らしさも倍増して見えるはずだ。

《山田正昭》

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