スバル レヴォーグ 熊谷PGM「“日本には、レヴォーグがある”と言われるように」

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スバル レヴォーグ プロトタイプ試乗会
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2014年5月に発売予定の、スバルの新型モデル『レヴォーグ』。そのプロトタイプの試乗会が栃木のツインリンクもてぎで行われた。

当日行われたのはレヴォーグのプレゼンテーション、1.6リットルおよび2.0リットルモデル「GT-S」グレードのサーキット/外周路走行、安全運転支援機能「アイサイト(EyeSight) ver.3」のプリクラッシュブレーキ体験とアクティブレーンキープ試乗体験など。試乗や機能のインプレッションと合わせ、スバル商品企画本部の熊谷泰典プロジェクトゼネラルマネージャー(PGM)のコメントも交えてレポートをお届けしよう。

◆好バランス光る1.6リットルDIT

レヴォーグに搭載されるエンジンは1.6リットルおよび2リットルの水平対向直噴ターボエンジン「DIT」。特に1.6リットルエンジンは、今回レヴォーグのために新開発された。このエンジンはレギュラー仕様ながら最高出力125kW(170ps)および250Nm(25.4kgm)を達成。現行のレガシィ ツーリングワゴンが搭載する2.5リットル自然吸気(NA)エンジンとほぼ同等のスペックを実現しながら、17.4km/リットルの優れた燃費で2015年燃費基準+20%達成レベルとなっており、経済的にも魅力は大きい。

熊谷PGMにこの新開発エンジンの開発経緯を聞くと「相当苦労して開発した」と語る。「レギュラーで17.4km/リットルという燃費は必達目標として愚直にチューニングを積み重ねた。スペックを達成するだけでなく、踏み出しの軽快感や中高回転域まで持続するトルク感など、実際のドライバビリティも入念に取り組んだ」。

1.6リットルモデルは、現行レガシィ ツーリングワゴン(2.5リットルNA車)と比べても足回りは引き締まっており、扱いやすいボディサイズとも相まってシュアなハンドリングが特長だ。

熊谷PGMは「足回りのセッティングに当たって、ピッチングやロールはかなり抑えている。ただ微少な段差がカドっぽくならないように丸く収めるチューニングとした」と語っているが、まさにその通りという印象だ。またターボエンジンのフレキシビリティも特筆すべきで、1500rpmあたりでも豊かなトルクを発生して、リニアに加速する。1800rpm付近から最大トルクを発生、5000rpmまで持続する。1.6リットルといえどもその気になってターボパワーを炸裂させれば、十分に“速い”。環境性能とパフォーマンスのバランスの良さが1.6リットルの魅力だ。なお、すでに先行予約を受け付けているレヴォーグのうち、およそ7割がこの1.6リットルモデルを選択しているとのこと。

◆圧倒的な加速がスポーツ心くすぐる2.0リットルDIT

そして2リットルのDITは221kW(300ps)と400Nm(40.8kgm)というスペックを達成。こちらはすでにレガシィシリーズや『フォレスター』に先行搭載されているもの(フォレスターに搭載のDITは若干デチューンされ280ps)だが、レヴォーグの搭載にあたりファインチューニングが施されて洗練さが一層増した。とくにトランスミッション「スポーツリニアトロニック」との組み合わせはアクセル操作に忠実ながら圧倒的な加速を示す。レガシィツーリングワゴンよりも40kg、フォレスターと比べても30kg軽量なボディも手伝って、4000rpmを超えてからの加速は爆発的と呼んでもいい。

もちろん、日常域でのパフォーマンスは申し分はなく、2000rpm付近で最大トルク値を発生。このような性能をもちながら、燃費は現行レガシィシリーズのDIT搭載車を凌ぐJC08モード13.2km/リットルを達成。ガソリンはプレミアム仕様となるが、スバル商品企画本部の熊谷PGMが「これまでの(レガシィ GT)スペックBをお乗りいただいているような方もきっと満足できる走りに仕上げた」と語るように、走りの面では一線級のスポーツカーに伍するパフォーマンスの持ち主といえる。

2リットルモデルは、VTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)を採用することで後輪のトルク配分を増やし回頭性を向上、エンジンの出力特性を自在に変えられる「3モードSI-DRIVE」、そして8段クロスレシオ変速制御を取り入れたCVT「スポーツリニアトロニック」など、スポーツドライビングを楽しむための機能にも事欠かない。

安全運転支援機能「アイサイト(EyeSight))」は、レヴォーグへの搭載にあたり「Ver.3」に進化。プリクラッシュブレーキ機能の強化に加えて、レーン逸脱時の操舵制御(アクティブレーンキープ)も追加された。また、画像処理機能はカラー認識に対応し、先行車のブレーキランプ検知や、誤発進防止機能のバック対応も図られた。

◆日本には、レヴォーグがある

レヴォーグはエクステリアデザインからも想像できるように、次期『WRX』とも基本構造を共有する。熊谷PGMは「レヴォーグは新型WRXとセットで開発しており、WRXとの共通部分はある」と述べるが、「(WRXとレヴォーグは)兄弟車ではない」と断言する。「レヴォーグの開発に当たってはレガシィツーリングワゴンの後継として、ワゴンらしい質感への配慮やパッケージング、そして走りの仕上げをしっかりやることで間口を広げた」。容量や使い勝手に配慮したパッケージング、そして柔軟性と環境性に優れたパワートレーン、人馬一体感といった体感性能も含め、バランスを重視したという。

レヴォーグはまさにスバルの持てる素材+αを投入する渾身の新型モデルだが、縮小しつつある国内市場、そしてクロスオーバー/SUVへの移行が進むワゴン市場になぜ新たなモデル投入を決断したのだろうか。熊谷PGMは次のように説明する。

「開発に当たってはいろいろな疑問が投げかけられた。国産メーカーのワゴンが減り、これだけシュリンクしている市場に投資して回収できるのか、と。しかし、いま国内にはおよそ40万のレガシィオーナーがいる。また、3世代目・4世代目にお乗りになっているお客様が5世代目に移行していない。むかし“日本には、レガシィがある”というキャッチコピーがあったが、国内のワゴン市場を活性化するためにも“日本には、レヴォーグがある”といえるようなクルマを作りたかった。日本のお客様にも喜んでいただけるだろうし、きっとビジネスにもなるはず」。

このレヴォーグ、まだ未発売ではあるが、スバルのショールームには早くも展示車が置かれている。試乗という形で走りを確かめることはまだできないが、内外装の質感やパッケージングは展示車を通じてチェックできる。多少なりとも気になれば、ショールームに足を運んでみるのもムダではないだろう。

《嶽宮 三郎》

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