1月19日現在で3200台の予約受注を獲得し、3月中には合計1万台を目指したいとするスバル『レヴォーグ』。ラインナップは2.0リットルターボと1.6リットルターボの2本柱だが、日本の自動車税制上、あるいは自動車保険の区分を考慮すると1.5リットルターボの選択肢はなかったのだろうか。
「企画段階では1.5リットルエンジンの構想も当然ありました」と話すのは、スバル商品企画本部主査の夘埜(うの)敏雄氏。日本の自動車税制は1リットルから6.0リットルまで0.5リットルごとに税額が上がっていき、自動車任意保険は1.5リットル~2.5リットルを中間としそれを上回る/下回る範囲で分ける3区分制を採用する。これを前提に考えれば、経費節減にもつながる1.5リットルターボも構想の中に入っていてもおかしくない。それだけに、当然1.5リットルターボを選択肢として考慮したと夘埜氏は話すのだ。
にもかかわらず、どうして1.6リットルターボを選んだのだろうか。「まず、1.5リットルターボだとベースとなるエンジンがなかった」という。旧型の『インプレッサ』には「EJ」型をベースとする1.5リットルの「EL15」があったが、このエンジンは基本設計が20年以上前と古く、また生産を終えてから3年近く経過しており、もはや現代に必要とされる動力・環境性能をクリアできないのだろう。
「1.6リットルなら既にインプレッサで搭載済みでしたから、これをベースに開発する方がコスト的にも見合うとの判断が働きました」と夘埜氏はその背景を説明する。「しかし、一番大きな理由は1.6リットルターボ車をレガシィ2.5リットル車の後継モデルに位置付けていたということです。つまり、2.5リットル車に匹敵するパワーをレギュラーガソリンで発揮できることが至上命題でした。そのためにプラス100ccの余裕はどうしても欲しかったんです」とも付け加えた。
確かに、ターボ車ではある一定の回転域になるまでターボチャージャーならではの効率的なパワーは発揮できない。しかし、排気量によってトルクが稼げていれば、ターボが効き出すまでのラグ感はあまり感じなくて済むはずだ。実は、今回試乗して2.0リットルターボ車と1.6リットルターボ車との差を最も感じたのは、このターボが効き出すまでの時間差だった。つまり、仮に1.5リットルターボを採用していたとすれば、この違いをもっと感じることになった可能性があるのだ。
レガシィの2.5リットル(自然吸気)車に乗っていたユーザーの大半は、バランス志向で選ぶ人が多かったという。2.5リットル車クラスになるとプレミアムガソリンを選択する車種が多い中で、レガシィはレギュラーガソリンの伝統を頑なに守り抜いてきた。レヴォーグもその良き伝統を何とか引き継ぎたいとの想いが敢えて1.6リットルターボエンジンを選ばせたとも言えるだろう。