【オートモーティブワールド14】EV社会で必須となる急速充電機能付き積載車

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EVを乗せて走行しながら充電が可能。3相交流200Vや単相100V電源を供給できる
  • EVを乗せて走行しながら充電が可能。3相交流200Vや単相100V電源を供給できる
  • CAP急速充電機能付の車載ローダ「Q太郎」(前から撮影)。今後のEV社会において必須となるだろう
  • 独自の大容量発電システムを開発。蓄電池にチャージした電気を、急速充電器で給電しているところ
  • 車両のサイドからも単相100V電源を供給。ここからクルマ以外のプラグイン製品にも利用できる
  • HMG発電機の構造。ロータに電磁石と永久磁石(ネオジウム磁石)を組み合わせた方式を採用
  • Q太郎の上に載っていたEVは、昨年の全日本ラリー選手権で初優勝した国沢氏の日産リーフだ

「オートモーティブワールド2014」のEV関連製品で特に目を引いたものに、モビリティープラスがロードサービス会社のあかつきと共同開発した急速充電機能付車載ローダ「Q太郎」が挙げられる。これは、発電・蓄電・充電という3つの機能をオールインワンで搭載し、電源のない現場で3相交流200Vや単相100V電源をサポートするだけでなく、トラックに車両を載せて走行しながら充電できる移動電源車だ。

移動電源車の用途は幅広い。ゼロエミッションビークルとして期待されるEVだが、1回の充電で走れる距離はまだ短く、充電ステーションも多くあるわけではない。今後、EVが普及するにつれて、ガス欠ならぬ「電欠」が頻繁に起きることが予想される。そんなとき、移動して充電できる電源車は必ず重宝するはずだ。また大災害時の電源供給や、老朽化インフラを調査する非破壊検査などの作業、淡水化・浄化プラント装置にも電源が必要になるだろう。

Q太郎は、日野自動車の『デュトロハイブリッド』をベースにしたもので、床下のホイールベース間に、菊水電子工業製の横置き急速充電器(20kW)と、リチウムイオンバッテリ(12kW)を埋め込んでいる。また独自に大容量発電システム(車載専用ジェネレータ)を開発し、エンジンルームに収まるサイズで重量も大幅に削減している点が特徴だ。

この新型ジェネレータは、従来のような電磁石を用いた発電方式ではなく、ロータに電磁石と永久磁石(ネオジウム磁石)を組み合わせた方式を採用。これにより最大出力を20kVAまで高めることに成功したそうだ。変動するエンジン回転数によって変化する電圧を、うまく制御する機構と構造を開発できたことが大きな鍵で、いま本技術の特許を出願中とのことだ。

実は、昨年のオートモーティブワールドでも、同社はEV用移動急速充電車「Q電丸」を出展していた。こちらはローダではなく、4WDの乗用車へ充電機を搭載したもの。Q電丸は、ラリーストの国沢光宏氏がEV(日産『リーフ』)で参戦した昨年の全日本ラリー選手権にて採用された。第3戦の愛知県新城ラリーでは、ガソリン車の並みいる競合を制し、なんと奇跡の初優勝(JN-1クラス)を成し遂げた。

今回のイベントで出展された車載ローダ・Q太郎の上に載っていた日産リーフが、そのとき国沢氏が運転していたものだという。全日本ラリーは1回の大会で300kmを走破しなければならない競技である。そんな過酷なレースで、Q電丸を利用してEVが優勝できたことは、とても大きな意義があることだ。

《井上 猛雄》

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