NASA、惑星探査向け垂直離着陸機モーフィウス試験機の飛行試験に成功

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2012年、試験前のモーフィウス着陸機
  • 2012年、試験前のモーフィウス着陸機

2014年1月16日、NASAは惑星探査に向けて開発中の垂直離着陸機「モーフィウス」試験機の5回目の飛行試験に成功し、映像を公開した。

米フロリダ州・ケネディ宇宙センターの試験施設で行われたフリーフライト試験で、モーフィウス試験機は垂直に57メートル上昇し、47メートル移動。予定していた着陸地点から28センチほどのところに着陸し、試験は成功した。

モーフィウスプロジェクトは、NASAが開発する月、火星、小惑星など惑星探査に使用するための着陸機開発プロジェクト。推進剤にメタンと液体酸素を使用しており、毒性のある物質を使わず、かつ宇宙でも安全に貯蔵できる。地上では手に入りやすく低コストで開発が可能で、将来の宇宙探査では、酸素とメタンを現地で手に入る材料を使って製造することも考えられているという。

モーフィウス試験機には、惑星表面に岩石やクレーター、傾斜があって着陸の障害となる場合に、着陸機が自律的に安全な場所を探す「ALHAT(Autonomous Landing Hazard Avoidance Technology:自律的着陸障害回避技術)」と呼ばれる機能の実現を目指している。開発はNASAのジョンソン宇宙センターが中心となっているが、試験施設はケネディ宇宙センター、エンジンテストはステニス宇宙センター、エンジン開発はマーシャル宇宙飛行センター、飛行制御ソフトウェア開発はゴダード宇宙飛行センター、ラングレー研究センターとジェット推進研究所がALHAT技術開発に参加し、オールNASAともいえる協力体制で開発を進めている。

2012年8月に行ったフリーフライト試験では、燃料漏れのために試験機は離陸直後に落下して炎上する結果となった。一方今回は、ケーブルで試験機を吊り下げた状態での試験をくりかえし、試験を成功させている。

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《秋山 文野》

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