財務省2014年度もゼロ回答、自賠責保険料運用益は取り戻せるのか

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6000億円もの「覚書」には、何の返済計画もない
  • 6000億円もの「覚書」には、何の返済計画もない

歳入が多かった特別会計に対して、財政難の一般会計が借金をする「隠れ繰入金」の問題で、返済を求める国土交通省に対して財務省は、来年度もゼロ回答を通した。

早期返還が求められているのは、自動車安全特別会計から一般会計に繰り入れた資金。税金ではなく、自動車ユーザーの自賠責保険(自動車損害賠償保険)の保険料運用益が、この特別会計の収入となった過去がある。

一般会計は、この特会から94年度と95年度に借り入れ(繰り入れ)をして、今も6000億円の繰り入れを残したまま。2000年以降1度も返済が行なわれていない。

2014年度の一般会計の予算案策定で、国交省は財務省に対して返済を求めたが、財務省は財政難を理由に拒否した。

さらに国交省は一括返済ではなく、いわゆる分納という形でも返済を求めたが、財務省は一般会計の財政状況はそれを許さない。また、自動車安全特会が、事業を継続することが困難な状況だとは認識していないので、来年度の返済はないとした。

国交省は、事業継続が困難にないという財務省の認識は間違っている。6000億円が返済されないために、積立金を取り崩さないと特会の自動車事故対策が行なえない状況にあると、反論している。

6000億円の返済は、国交大臣と財務大臣の覚書が取り交わされ、2018年度まで返済が猶予されいる。返済方法などは決まっていない。

ただ、6000億円という数字は巨額だ。2014年度の国土交通省関係の公共事業関係費(約5兆2000億円)の約1割にあたる。税収の約16年分に相当する公債残高を抱える一般会計に、一括返済を許す状況はやってくるのだろうか。

《中島みなみ》

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