多くの国産車に欠けているのは、ボディ剛性だと思う。
足元から下が、がしゃがしゃして、いや~な振動が走行中にずっと続くあの感じ。日本人をバカにしてんのか? とすら、思ってしまう。どうせ日本ではチョイ乗りメインだし。どうせ日本人、わかんないし? 国産メーカーからそんな声が聞こえてきそうだ。え? ちがう? めいっぱいやっています? だとしたら、これでよしとする感性を疑う。もしくは技術力?
『ゴルフ』は、そんなケンカを売りたくなるほどボディ剛性がめっちゃくちゃいい。なんという乗り心地。なんという気持ちよさ。長時間乗っていても疲れ方がまったく違う。そしてそれを後ろから支えるようなダウンサイジング・エンジンの燃費のよさ。ちょっとそこまでのつもりが、ワンタンクで800kmいけちゃう。なんという心強さ。遠出が楽しくなり、クルマでどこかへ行く魅力再発見だ。
ある意味、ゴルフは新しいクルマの世界を見せてくれたと思う。クルマででかける面白さ。クルマに乗り、プラスαを感じられる世界を広げてくれた。日本のユーザーに、いま一番、乗ってほしいクルマがゴルフ。ゴルフを経験し、ゴルフを体験した人の声が、国産車のボディ剛性の基準を押し上げる起爆剤になることを願っている。
岩貞 るみこ │ モータージャーナリスト/ノンフィクション作家
女性誌や一般誌、ラジオなどで活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーと、救急医療を通じて衝突安全を中心に取材をするほか、近年はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。チャイルドシート指導員。国土交通省安全基準検討会検討員。同・リコール検討員。同・独立行政法人評価委員会臨時委員他、委員を兼任。