今年はVWゴルフで悩むことはなかった。
毎年、最終的には心の中で2台に絞り、悩むのが通例だった。しかし今年は迷うことなくVWゴルフに10点を投じた。ガソリン車にしてHVに迫る超実燃費と、依然、同クラスの日本車との差を痛感させられるボディーの造り込み、動的性能の洗練度、奥行き、そしてGTIの大人っぽい極上のスポーツフィールに感動したからだ。強力なライバルに囲まれながらも、全グレードともに真っ先に誰にでも薦められる、ドアを開け、乗り込んだ瞬間から心底納得できる世界最上のコンパクトカーと思える。11月に発売されるバリアントは個人的(愛犬も)に今、一番気になるCセグメントのコンパクトワゴンでもある。
ホンダ フィットは特にHVを評価した。廉価な1モーターシステムにして世界最高レベルの燃費性能を誇る身近な万能車として日本になくてはならない存在だと思う。先進感を増したインテリア、i-DCDなど技術的ハイライトも少なくない。
イノベーションという意味ではアウトランダーPHEVを評価した。EVを基本としたPHEVという成り立ち、実質45キロものロングレンジを可能にしたEV走行の実現など、HVでもEVでもPHVでもなし得ない世界を構築。2モーター4WDであり、AC100V/1500Wコンセントの装備もあるため、地震大国日本に本当に必要な1台でもあるはずだ。
配点はともかく、日本伝統の高級車であるクラウンは史上最上の仕上がり。いつかはクラウンではなく、今こそクラウンと言いたい。ピンククラウンはリボーンクラウンの象徴であり、その企画にトヨタの「今」を感じ取ることができた。
青山 尚暉|モータージャーナリスト
東京都出身。自動車専門誌編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌、一般誌、ウェブサイト、ラジオなどに寄稿、出演。クルマの実用性を数値で表す、独自の計測機器によるパッケージ寸法データを蓄積中。試乗記、購入ガイドなどの執筆のほか、コンパニオンアニマルとしての愛犬と楽しむ快適自動車生活を各方面で提言。