楽しくなければ自動車ではない。この課題に対して2つのメーカーが真っ向からぶつかって回答を出した。VWの7代目『ゴルフ』。ホンダの3代目『フィット』である。
もちろん、楽しいといっても地球温暖化を無視して石油依存どっぷりでは評価はできない。環境・エネルギー問題の解決に向けても、しっかり答えを出さなければならない。
ゴルフは、ダウンサイジング・ターボ+7速DSG、一方のフィットは新式ハイブリッド+7速DSG。仕上がりは、あきらかにゴルフの一方的な勝利であった。乗車感は比べるまでもなく、圧倒的にゴルフが良い。大変に気持ちよく、ワクワクする乗車感である。また、実質的なCO2排出量に大きな差はない。これは、7世代にもわたって世界の大衆車をめざしてきたVWの自動車作りの信念の勝利といってよい。
フィットの志は高いが、技が足りなかった。これぞ歴史の差である。
舘内 端 │ 自動車評論家
レーシングカーの設計、エンジニアをしつつ自動車評論を始め、再びレーシングEV(電気自動車)の設計、エンジニアとしてモータースポーツの世界にカムバック。あわせて自動車における環境・エネルギー問題の解決に向けて注力する。日本EVクラブ代表。98年に低公害車の普及活動に対して環境大臣表彰を受ける。