国際空港に残る「廃線跡」…? 「動く歩道」を備えた連絡通路に役割を譲り、9月26日限りで「廃止」された、成田空港第2旅客ターミナルの本館とサテライト(別館)を結んでいた「シャトル」。廃止から約2カ月が経ったが、乗り場跡などには現役時代の面影が残っている。
シャトルは1992年の第2ターミナル開業時、本館とサテライトを結ぶ移動手段として登場。黄色い新交通システム風の車体だが、実際は水平に走る「エレベーター」で、車両の下から空気を吹き出して浮上し、ワイヤーで引っ張る仕組みの乗り物だった。約300mを1分ほどで結んだが、旅客数の増加に伴い待ち時間が長くなるなどの問題が指摘され、動く歩道に切り替えられた。
「シャトル」の軌道跡は新たに設置された連絡通路に挟まれ、展望デッキからは観察できず、出国審査後に利用する乗り物だっただけに「廃線跡」探訪はなかなか困難。今回、海外訪問の際に現在の様子を観察してみた。
成田からの出発時は、かつてのシャトル乗り場が新しい通路への入口となっている。シャトルの「ホーム」だった場所は塞がれているが、旧乗り場奥の窓からは現在も残る軌道が見え、工事が行われている様子が確認できた。新設された通路は出発側(本館からサテライト方向)、到着側(サテライトから本館方向)ともにシャトル軌道の外側に沿って設けられており、大型の窓ガラスで外側の展望は素晴らしいものの、内側の窓は塞がれており軌道の様子は見られない。サテライト側にはかつての降車用「ホームドア」がそのまま残っていた。
到着時は、動く歩道から本館に入った直後の右側の壁がパネルで塞がれており、ここがシャトルの降車場所だったことがうかがえた。
報道によると、シャトルの軌道跡は通路やテナントとなる計画で、車両は4両中2両が近くの観光施設に保存されるという。乗車時間はあっという間で待ち時間のほうが長い印象もあったシャトル。待ち時間のない動く歩道の新設で利便性は向上したとの声が多いようだが、かつて空気浮上式のユニークな乗り物があったことも記憶に留めておいていいだろう。