世界耐久選手権(WEC)第6戦「富士6時間レース」開幕を翌日に控えた17日、現在ドライバーズポイントで首位快走中のロイック・デュバルが、意外にも「タイトル争いは接近した状況にある。まだどうなるかわからない」との旨を語った。
現在のアウディ・ワークスには日本と縁深いドライバーが多いが、開幕前日のプレス懇親会には、日本のトップカテゴリーで現在も活躍中、あるいは近年まで活躍していた3選手が出席した。ドライバーズタイトル連覇を狙って33点差を追う1号車トリオからはアンドレ・ロッテラーとブノワ・トレルイエが、そして現在首位の今季ルマン勝者でもある2号車トリオからはロイック・デュバルが出席してくれたのだが、1号車のふたりが「正直、逆転は難しい」との観測を語ったのに対し、デュバルからは「接近している状況だよ」という、ちょっと意外な答えが返ってきた。
昨季からアウディ・ワークス陣営に参画、今季はレギュラーとなったデュバルは、トム・クリステンセン、アラン・マクニッシュと組んで2号車を駆り、ルマン24時間では自身初の総合優勝を飾るなどしてここまで5戦3勝だ。全勝アウディ陣内で競われているドライバーズタイトル争いでは、2勝の1号車トリオに対し33点のリードを築いている。富士を含み残りは3戦、優勝が25点で2位が18点(予選1位に1点)というポイントシステム、そしてLMP1クラスの参戦台数的な状況やアウディの高い完走率等々を考慮すると、かなりのリードと思えるが…?
「一度でも何かが起きれば、すぐにリードはなくなる。それに前のレース(第5戦・米国オースティン)を見ただろう? トヨタが速くなってきている」。なるほど、前戦では1カー出走のトヨタが2位に食い込み、アウディは1-3だった(デュバル組優勝)。もちろん1-2を狙って陣営全体で全力を尽くし続けるアウディだが、ロッテラーたち1号車が勝って、間にトヨタが挟まるというケースも今後は考えられるわけだ。ましてや富士にはトヨタが2カーで出てくる。展開次第では3位15点、あるいは4位12点というポイントに終わる可能性がないわけでもないため、デュバルは「我々2号車にとって(客観的に見て)いい状況であることは確かだが、まだどうなるかはわからない」と、気を引き締めるのだ。
アウディR18 e-tron quattro対トヨタTS030 HYBRID、2台対2台の両軍真っ向勝負のなかで、アウディ同門対決が佳境を迎える。激戦必至のWEC第6戦は静岡県・富士スピードウェイにて、18日に練習走行(2回)、19日が練習走行(1回)と公式予選、そして20日に6時間の決勝レースというスケジュールで開催される。