NECなど、新規鉄マンガン系正極を使った次世代リチウムイオン電池を開発…従来比1.7倍のエネルギー密度を実証

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日本電気(NEC)、田中化学研究所および、積水化学工業は10月1日、産業技術総合研究所と共同で、新規鉄マンガン系正極を使った次世代リチウムイオン電池を開発したと発表した。

今回開発した次世代リチウムイオン電池は、現在実用化されているマンガンスピネル系正極を使ったリチウムイオン電池の約1.7倍となる、エネルギー密度271Wh/kgを実現。リチウムイオン電池の低コスト化、環境対応自動車の航続距離延伸、定置用蓄電システムの小型軽量化等に貢献するものだとしている。

NEC、田中化学研究所および、産業技術総合研究所は共同で、層状岩塩構造を有するリチウム鉄ニッケルマンガン酸化物を新たに開発。原料に安価な炭酸リチウムを使用する独自の合成手法を確立し、kgスケールの合成に成功。本正極材料で、従来使われているマンガンスピネル正極材料(容量110mAh/g)の約2.2倍となる容量密度247mAh/gを実証した。

続いてNECは、開発した新規鉄マンガン系正極の性能を十分に引き出す負極として、導電剤に炭素系材料のカーボンナノホーン等を使用した酸化シリコン系負極を新たに開発。鉄系酸化物正極に合わせて組成を最適化し、電池の高エネルギー密度化に寄与。さらにNECと積水化学工業は共同で、高電圧耐性の高いフッ素化エーテルを含有する電解液を新たに開発。鉄マンガン系正極を使ったリチウムイオン電池を最高4.5Vまで充電し、安定動作を確認した。

さらにNECは、開発した鉄マンガン系正極、酸化シリコン系負極、耐高電圧電解液を使って、8Ah級のラミネートセルを試作。現在実用化されている、マンガンスピネル系正極を使用したリチウムイオン電池の約1.7倍となるエネルギー密度271Wh/kgを実証した。

3社は今後も、同リチウムイオン電池の信頼性、安全性などの課題解決に努め、2020年頃の実用化を目指した研究開発に取り組んでいく。

《纐纈敏也@DAYS》

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