マツダの“料理人”、トヨタTHSで人馬一体を表現

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開発の取りまとめ役であるマツダの猿渡健一郎氏
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マツダ3はトヨタのハイブリッド・システムを採用

フランクフルトモーターショーでワールドプレミアムを飾った『マツダ3』(日本名『アクセラ』)。この日本向けのセダンには、トヨタのハイブリッド・システムが搭載される予定だ。しかし、ここで疑問に思うのは、トヨタのシステムを使いながら、マツダならではの「人馬一体」の走りが実現できるのだろうか? ということ。私見ながら、トヨタのハイブリッドの走りとマツダの「人馬一体」の走りには、大きな隔たりがあるからだ。

「そう思う人こそ、私のクルマ(マツダ3)に乗っていただきたい。“えっ?”と驚かれると思います」と、マツダ3開発の取りまとめ役であるマツダの猿渡健一郎氏は自信をのぞかせた。フランクフルトモーターショー会場での話だ。

「我々としては、どのパワーユニットであろうとも、我々がお伝えするものは一緒にしないといけないと思っています。例えればマツダ・ブランドは日本人です。日本人の中にも個性はあります。でも、個性があってもみんな日本人ですよね。同じように、アクセラが提供する価値は変わりません。個性はあるにしろ基本的には同じ。主義主張は絶対に変えちゃいけない」と猿渡氏。

その絶対に変えてはいけないマツダの主義主張とは「走りのリニアなフィーリング」である。それが、トヨタのハイブリッド・システムを採用しても実現できたというのだ。

最初はひどかった…最後はマツダの味を実現

しかし、最初からトヨタのシステムを使いながら「人馬一体」のマツダの走りを実現できたわけではないともいう。

「最初はひどかった。それはもう、やりながら考えました。実際に、マツダの中でも、“絶対にハイブリッドには乗らん”と言う人もいましたからね」

トヨタのハイブリッド・システムの特徴は、プラネタリーギアを使って、エンジンとモーターという複数の動力を巧みにミックスし、分配できるところにある。

「基本的なトルク分配装置は、トヨタ側からいただいているものですが、シンプルで、とても優れています。他のメーカーさんもいろいろなハイブリッドを考えていますが、たぶん、トヨタが最高でしょうね」と猿渡氏。

しかし、問題となるのは、エンジンとモーター駆動をどのように利用するかだ。燃費優先でシステムが自動制御すればするほど、ドライバーの意思を無視するような制御となり、マツダのいう「人馬一体」「リニアなフィーリング」とは乖離すると思えるのだ。

「そこでSKYACTIVを使うメリットに気づいたのです」と猿渡氏。

ハイブリッド・システムは、燃費マップで、いわゆる“燃費の目玉”と呼ばれる効率のよい負荷・回転数でエンジンを使う。その目玉の領域が小さければ、ドライバーの意思とは無関係にエンジンが回ってしまう。しかし、もともと燃費の目玉の広いSKYACTIVエンジンであれば、ドライバーの意思に近い制御が可能になるという。

「料理人の腕次第。材料はいろいろあります。それらをどう調理するかによって、クルマの出来が違ってきます。つまり、我々の腕の見せ所ということです。回生の嫌なぐーっという減速感もありませんよ」と猿渡氏。

マツダの“料理人達”が腕によりをかけて作り上げたアクセラハイブリッド。日本での正式デビューは10月上旬となる。

《鈴木ケンイチ》

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