宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、今後10年間で3回程度の中型クラスによるフラッグシップミッションを実施するとともに、イプシロンロケットで打上げる規模のミッションを2年に1回の頻度で実行すると発表した。
JAXAは、宇宙科学・探査について戦略性を持って今後の計画を策定するため、宇宙科学研究所理工学委員会の元にタスクフォースを設置し、ロードマップを策定し提示した。これに基づいて今回、宇宙研として、内閣府の宇宙政策委員会宇宙科学・探査部会に報告したもの。
それによると今後の宇宙科学・探査プロジェクトの推進では、従来目指してきた大型化の実現よりも、中型以下の規模をメインストリームとし、H2クラスで打上げを想定した中型クラス、イプシロンで打上げを想定した小型クラス、多様な小規模プロジェクトという3つのカテゴリーに分けて実施していく。
その上で、戦略的に実施する中型計画(300億円)としてASTRO-Hを含めて10年間で3回の打上げ、公募型小型計画(100億~150億円)として2年に1回の打上げ、多様な小規模プロジェクト群を年間10億円の予算規模で実施していく。
成果の創出や、人材育成、コミュニティの求心力などの観点から、これらの頻度での打上げ実現を目指す。
また、イプシロンロケット高度化などを活用した低コスト・高頻度な宇宙科学ミッションを実現するため、衛星探査機の小型化・高度化技術などの工学研究課題に取り組むほか、惑星探査、輸送系、深宇宙航行システムの研究成果をプロジェクト化する方針だ。
太陽系探査科学分野では、最初の約10年を機動性の高い小型ミッションによる工学課題克服・技術獲得と、先鋭化したミッション目的を立て、10年後以降の大型ミッションによる本格探査に備える。天文学・宇宙物理学分野では、フラッグシップ的中型、機動的に実施する小型と海外大型ミッションへの参加など多様な機会を駆使して実行していく。