はやぶさ2相乗り小型衛星 候補3機がJAXA審査を通過

宇宙 テクノロジー
東京大学/JAXAによる『PROCYON(プロキオン)』
  • 東京大学/JAXAによる『PROCYON(プロキオン)』
  • 多摩美術大学による『ARTSAT2-DESPATCH(アートサット2 デスパッチ』
  • 九州工業大学による『しんえん2』

JAXA 宇宙航空研究開発機構は、2014年末にH-IIAロケットで打ち上げ予定の小惑星探査機『はやぶさ2』と共に打ち上げられる相乗り小型衛星として、3機関からの候補人工衛星3機が審査を通過したと発表した。

相乗り小型衛星とは、主となる人工衛星の重量がロケットの搭載能力より小さい場合、余剰の搭載能力を50センチ角、50キログラムより小型の衛星の打ち上げ機会として提供するJAXAのプログラム。H-IIAロケットでは、2009年にH-IIAロケット15号機で温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)と共に6機の小型衛星が打ち上げられて以来、3回の相乗り機会があり、今年度は地球観測衛星『ALOS2』や全球降水観測計画『GPM』と共に相乗り打ち上げが予定されている。2014年に打ち上げられる予定の『はやぶさ2』相乗りについて、今年4月から搭載候補の募集が始まっていた。

審査を通過した3機のうち、1位通過となった東京大学・JAXA共同研究による『PROCYON(プロキオン)』は、重量約59キログラムの衛星。50キロ級超小型衛星で、ミッションとして将来深宇宙探査を行うための技術実証を予定している。X帯での通信実験や、観測対象の近傍を通過しながら撮影するフライバイ撮像などを行う。共同実施機関としてISAS(宇宙科学研究所)、東京理科大学、北海道大学、明星大学などが参加している。

2位通過となったのは、多摩美術大学による『ARTSAT2-DESPATCH(アートサット2 デスパッチ』重量約30キログラムの衛星。衛星からの通信(テレメトリ)をソーシャルネットワークを用いて共同受信する、衛星搭載の各種センサーのデータから、コンピュータが「宇宙生成詩」を送信する、3Dプリンタによる造形物を衛星に搭載する「深宇宙彫刻」などを予定している。共同実施機関は東京大学。

3位通過となったのは、九州工業大学による『しんえん2』。重量約15kgと今回の候補の中では最も小さい衛星となる。熱可塑性CFRP(炭素繊維強化プラスチック)による衛星の制作と宇宙での実証、遠距離での衛星との相互通信実験などを予定していいる。共同実施機関は鹿児島大学。

今後は、ロケットの余剰搭載能力の解析や、主衛星である『はやぶさ2』への影響などを確認し、2014年3月には今回選定3機それぞれの搭載の可否、搭載可能な機数などが明らかにされる予定だ。

《秋山 文野》

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