【フィット プロトタイプ】巧みにデザインされたボディサイドのキャラクターライン

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ホンダ フィットHV(プロトタイプ)
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ホンダは昔から奇数世代が得意だ。初代を成功させると、2代目は守りに入って伸び悩み、「なにくそ!」と3代目でまた頑張ってきたのがホンダの歴史。しかし『フィット』は違う。

初代が大成功したフィットは、妥協ない正常進化で現行2代目もヒットさせた。保有母体(既納客)はすでに膨大だから、そこからの乗り換え需要が3代目となる新型の主たるターゲット。ならば再び正常進化のデザインをやるのが普通の発想だろうが、奇数世代が得意なホンダはチャレンジに打って出た…と新型フィットを見て、そう感じた。

Aピラーの根元を大胆に前進させたキャブフォワードのモノフォルム・プロポーションにこそ2代目の面影が残るが、それ以外はイメージ一新だ。フロントマスクはヘッドランプを後ろに引っ張るのをやめて、逆台形グリルと横長ヘッドランプを一体化。おかげでボンネット面が広がり、モノフォルムながらボンネットのボリューム感で安全感・安心感を漂わせる。ここがプロポーションの進化のポイントである。

もっと目を引くのは、ボディサイドに深く刻まれたキャラクターラインだろう。これを境にボディを上下に切り分けている。上半分=キャビンはリヤに向けて絞り込んで空力性能を向上させつつ、下半分はリヤフェンダーに充分な幅を与えて後輪を踏ん張らせた。先代=2代目はリヤのホイールアーチを張り出していたが、その寸法を使わずにタイヤの踏ん張り感を表現。これは巧い。

ただし、そのキャラクターラインの前端が下向きに角度を変えているのは、賛否両論を呼びそうだ。真っ直ぐ延ばしてフロントフェンダーで消すほうが素直な感じ…ではあるが、前端を下に向けることで、パワートレインを内蔵したフロント回りとキャビンに一体感が醸し出しているようにも見える。

駆動輪を持つフロント回りにキャビンを一体化しつつ、これに後輪の踏ん張り感をもたらすボディ下半分を合体させたテーマだと思えば、このキャラクターラインも納得だろう。議論の余地があるとしても、そこは3代目のチャレンジの証だと理解したい。

《千葉匠》

千葉匠

千葉匠|デザインジャーナリスト デザインの視点でクルマを斬るジャーナリスト。1954年生まれ。千葉大学工業意匠学科卒業。商用車のデザイナー、カーデザイン専門誌の編集次長を経て88年末よりフリー。「千葉匠」はペンネームで、本名は有元正存(ありもと・まさつぐ)。日本自動車ジャーナリスト協会=AJAJ会員。日本ファッション協会主催のオートカラーアウォードでは11年前から審査委員長を務めている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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