NASA ジェット推進研究所(JPL)は、開発中の"RoboSimian(類人猿ロボ)"が最終設計審査を通過し、米国防総省国防高等研究事業局(DARPA)が主催する『DARPA ロボティクス・チャレンジ』の第2イベントに進出すると発表した。
RoboSimianは、JPLが類人猿から着想を得て開発した、軸対称の4本脚を持つ遠隔操作型災害救援ロボット。被災地での安定性を重視し、誤操作を低減してより短時間で任務を完了することを目的としている。多目的の手足は移動とものを掴む動作の両方に対応でき、はしご、手すり、階段の踏み板などをつかんで姿勢を安定させることができる。開発中のロボット実機の画像では、ぶら下がって体を支え、空いた手足でものをつかむ類人猿のような動作を見せている。
RoboSimianが参加する『DARPAロボティクス・チャレンジ』は、DARPAが主催する災害救援ロボットコンテスト。3段階のチャレンジが設定され、今年6月に開催された第1イベント『DARPA バーチャル・ロボティクス・チャレンジ』では26チームがロボットの「認知能力」「操作」「移動」をテーマとした3つの課題をこなすソフトウェアを競い合い、7チームが予選を通過した。また、ロボット実機を開発するトラックAから、開発中の機体や操作などのプレゼンテーションでDARPAの審査を通過した6チームが、2013年12月に開催される第2イベント『DARPA ロボティクス・チャレンジ・トライアルズ』に出場する。
出場6チームは:
・カーネギーメロン大学、ナショナル・ロボティクス・エンジニアリングセンター "CHIMP"
・ドレクセル大学 "Hubo"
・NASA ジェット推進研究所 "RoboSimian"
・NASA ジョンソン宇宙センター "Valkyrie"
・株式会社SCHAFT
・ヴァージニア工科大学 "T.H.O.R."
出場チームはDARPAより開発資金と、課題ロボット『アトラス』を供与される。アトラスはボストン・ダイナミクス社の開発した2足歩行ロボット。2本の腕と2本の脚、胴体、頭を持つ人型をしており、身長1.88メートル、体重150キログラム(バッテリー込み)、28の油圧作動関節、レーザー距離計とステレオセンサーを搭載した頭部を備えている。手の部分は交換可能でiRobotまたはサンディア国立研究所製から選択できる。トライアルの課題は公表されていないが、チーム独自のロボットとアトラスの2体で出場し、ロボット実機を操作して、災害現場を模した環境に対応するする競技となるとのことだ。
トライアルは2013年12月にフロリダ州で開催され、入賞者は2014年の『DARPA ロボティクス・チャレンジ・ファイナルズ』に出場する。災害を想定したシナリオに基づく課題に挑戦し、優勝チームには200万ドルの賞金が与えられる。
DARPA ロボティクス・チャレンジ・トライアルズ出場6チームとロボット
課題ロボット ATLAS(アトラス)