アグレッシブと言われても…と、実は最初は懐疑的だった。けれどジックリと付き合うと「なるほど」と思わせられる仕立てになっていることがわかった。
試乗車は新型メルセデスベンツ『A180ブルーエフィシェンシー』。アウタードアハンドルがやや低めの位置で“上向き”だったり、乗り込めば何しろポジションが低かったり…と、乗るたびにスポーツカー感覚が味わえるのが新鮮。試乗中、助手席に何人かが同乗したが、全員、座ると開口1番に「低いんだね」と言った。
やや重めのステアリング、走り始めに少し“引き締まった感”をおぼえる足まわりも、スポーティ方向の設定。導入当初の印象づけだと理解した上で、本国仕様のよりベーシックな仕様(15、16インチタイヤ+ヘッドレスト別体シート)も、コンフォートな別ラインとして興味が湧く。とはいえ速度が乗れば、なめらかで高品位な走りっぷり。1.6リットルターボはパワーを欲張った風ではないが、山道を走る際など「S」モードに切り替えれば、エンジン回転を活用し十分に活発に走れる。7速デュアルクラッチのマナーはごく自然で、走行モードにかかわらず、シフトチェンジのショックは皆無で、あくまでスムースさ最優先で実行される。
リアルステッチ入りのソフトな表皮で覆われたダッシュボード、各部操作スイッチ等、インテリアの質感はCセグメントとしては極上の部類。後席は座面前後長が短く着座感が万全ではないのは事実。だが“2名使用が前提で荷物の出し入れに便利な後ろのドア付きのスポーティな実用車”と見做せば納得がいく。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。