【キャデラック ATS 試乗】コストパフォーマンスの高さは誰の目にも明らか…山崎元裕

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キャデラック・ATS「ラグジェアリー」
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  • キャデラック・ATS ラグジュアリー
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これは「Dセグメントに新しいチョイスが誕生した」などというレベルの話ではないようだ。それはこのセグメントにおいて、「ファースト・チョイス」となる可能性を秘めた新型車だ。

自分自身も、デビュー時から注目していたキャデラック『ATS』。そのステアリングを握ってから、こう確信するまでには、さほど長い時間を必要とすることはなかった。

キャデラックが、このATSの開発時に最も強く意識したライバルは、BMWの『3シリーズ』だったという。そのためにまったく新しい、後輪駆動の基本設計を確立し、ニュルブルクリンクのノルド・シュラウフェで、徹底的にそのパフォーマンスを検証し続けた。ATSの走りに、これまでのキャデラックのような、いやアメリカ車のようなテイストを感じないのは、むしろ当然のことなのかもしれない。

日本仕様のATSは、276psの最高出力を発揮する、2Lの直噴型直列4気筒ターボエンジンを、6速ATとの組み合わせで搭載する。ラインナップは「ラグジュアリー」と「プレミアム」の2グレード。後者には電子制御のマグネティック・ライドコントロールサスペンションが与えられるほか、18インチタイヤやLSDなど、走りのアイテムはさらに充実するが、今回はまずラグジュアリーを試乗した。

2Lターボエンジンは、実にトルクフルだ。6速ATの動きもスムーズで、したがってあえてスポーティーな走りを望まなければ、ATSは常にコンフォートな印象に終始する。乗り心地にも十分な節度があり、100km/h程度でのクルージングならば、キャビンの快適性は、静粛性や居住性を含め、やはり確実にクラスをリードする存在と評価できるだろう。

そして驚くべきは、ワインディングでの走りだった。50:50にセットされた前後重量配分からは、そのハンドリングに大きな期待を抱くことができるが、実際のATSの動きは、その期待をまったく裏切ることがない。前で触れたように、「プレミアム」グレードでは、さらに高度なダンパー制御が行われることになるわけだが、とはいえ「ラグジュアリー」のシャシーセッティングに何かの不満があるわけではない。個人的にはステアリングに、よりリニアなフィールがあればとも思えたが、それを差し引いてもなお、Dセグメント内でのATSの優位性は高いと評価できた。

シャープなライン構成が印象的なエクステエリア、そしてスポーティーなデザインと同時に、レザーシートやトリムを採用したことで、高級感を生み出したインテリアも、ATSが持つ、ライバルに対しての大きなアドバンテージ。コストパフォーマンスの高さは、日本市場での価格とともに、スペックや装備表を見れば、誰の目にも明らかになるはずだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

山崎元裕|モータージャーナリスト
日本のスーパーカー研究における第一人者であり、ニックネームは「スーパーカー超王」、もしくは単に「超王」。自動車雑誌編集部を経て、自らスーパーカーを入手するためにフリーへ転身。特にランボルギーニ、ブガッティ、マクラーレンF1等に関する研究に秀でている。世界中のモーターショーを飛び回り、数多くの自動車雑誌においてスーパーカーに関する執筆を担当している。

《山崎元裕》

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