JAXAと日本医師会が協定、災害発生時に超高速インターネット衛星「きずな」を医療支援に活用

宇宙 企業動向
左から、日本医師会 横倉会長、JAXA 立川理事長
  • 左から、日本医師会 横倉会長、JAXA 立川理事長

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、日本医師会と、大規模災害発生時、超高速インターネット衛星「きずな」を災害医療支援活動に活用するための実験を共同で実施する協定を締結した。

今後、両者で協力して実証実験を重ね、次の大規模災害発生時に、有効な支援活動を行えるよう備える。

東日本大震災の際、日本医師会では、被災県医師会との間でTV会議を開催し、被災地の支援ニーズを把握するとともに、多数のJMAT(日本医師会災害医療チーム)を被災地に派遣した。ただ、被災地や派遣元との情報共有手段に課題も残った。

JAXAは、岩手県庁と釜石市や大船渡市などとの通信インフラが途絶し、復旧活動に支障をきたしていた被災地に対し、「きずな」により衛星通信回線を提供する支援活動を行うなど、TV会議やインターネットが活用された。

災害医療支援活動では、被災地での傷病の発生動向、患者・住民の状態や避難所等の状況などを把握し、関係者間で情報を共有することが重要となる。今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震や首都直下地震は、東日本大震災以上の被害が想定されており、被災状況によっては、通常の通信環境が機能停止に陥り、インターネットが利用できなくなる可能性もある。

JAXAと日本医師会は昨年7月26日、札幌市や首都圏に大震災が発生したという2本のシナリオの下に、「きずな」を介して、日本医師会、北海道医師会、埼玉県医師会の間でTV会議を行うとともに、インターネットを介してクラウドコンピューティングにより被災地のカルテや避難所の情報などを共有するデモンストレーションを行った。

今回の協定は、これまでの結果を踏まえ、多くの被災者を支援したいとの共通認識のもと、災害時、有効なインターネット衛星を活用した情報共有手段の確立を目指して締結した。

《レスポンス編集部》

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