中日本高速は、天井板崩落事故の現場となった中央道(上り線)の復旧作業に1月11日から着手することを、9日夜の会見で明らかにした。
2月下旬の開通目標の発表以上に、会見で記者の質問が集中したのは、事故現場となった笹子トンネル(上り線)の緊急点検の結果だった。
事故が起きる3か月前、同社は現場の点検を行っている。
会見に臨んだ保全・サービス事業本部の森山陽一担当部長と大地伸平統括チームリーダーは「(この点検では)ただちに補修をとるような重大な不具合はなかった」と、答えた。
しかし、12月に崩落箇所130mを除いた約4.4kmについて実施した緊急点検では、合わせて1211か所で何らかの不具合が見つかり、そのことを8日に国土交通省に報告している。
わずか3か月で、これだけの変化が起きるのか。会見に臨んだ記者の疑問はそこに集中した。
笹子トンネル上り線のアンカーボルト総数は1万1613か所。今回の緊急点検では約9%にあたる1028か所で不具合が発見された。この数には崩落現場のアンカーボルトは含まれていない。
不具合のあったアンカーボルトは、緩みや断面欠損などのほかに、「欠落」と「脱落」があった。同社では、点検時点ですでに抜け落ちているものを欠落、打音検査や触診などによって抜け落ちたものを欠落と言い分けている。
事故現場となった上り線の緊急点検では、欠落が5か所、脱落が3か所見つかった。
「事故で大きな衝撃を受けているし、原因は(今のところ)わからない」
同社は不具合の数量が明らかになっただけで、詳細な分析が進んでいないことから、独自の見解を示すことを避けた。
「事故調(笹子トンネル事故調査委員会)に結果を出して判断を仰ぐので(原因などについては)委ねたい」
「事故調の検討により再発防止に努めたい」
両氏からは何度もそうした言葉が繰り返された。
同社は明日にもすべての点検を終えて、9月に実施した点検箇所と今回の緊急点検の不具合箇所の突き合わせ作業などを重ね、事故原因の解明を進める。