【BMW X1 試乗】走破性と高速安定性を両立…松下宏

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BMW X1
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BMWはSUVをSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼ぶが、そのシリーズの中でエントリーモデルに位置するのが『X1』。日本では2010年4月にデビューし、2011年10月と2012年9月にマイナーチェンジを実施している。

その最新モデルの「xDrive 28i Mスポーツ」に箱根のワインディングなどで試乗した。

X1は名前に“1”が付いているが、基本は3シリーズのツーリング。これにSUV感覚の外観デザインと高めの最低地上高による悪路走破性をプラスした。ちなみに最低地上高は195mmが確保され、本格派のオフロード4WDに近いロードクリアランスを持つ。

28i Mスポーツに搭載されるエンジンは直列4気筒2.0リッターの直噴ターボ仕様。20iに搭載されるのと同じエンジンだが、チューニングの違いによって180kW/350N・mの余裕ある動力性能を発揮する。

フルタイム4WDのxDriveのため車両重量はやや重くて1690kgに達するが、この重量に見合う以上の動力性能を持つ。吹き上がりも軽快で、ターボであることを意識させないような自然なトルク感が味わえる。

組み合わされる電子制御8速ATは相変わらずの滑らかそのものの変速を見せ、走行中に何速のギアが使われているのか分からなくなる。8速のギアなどは完全に高速クルージング時の燃費対策用のもので、市街地走行などではほとんど使われることがない。

Mスポーツにはスポーツサスペンションが用意されている上、試乗車にはオプションの19インチタイヤが装着されていて、けっこう硬めの乗り味を感じさせる。

Mスポーツの味付けも以前に比べると快適性に配慮したものになっているが、それでも19インチタイヤと合わせた仕様ではかなりの硬さを感じる。

X1でMスポーツを選ぶ場合でも、標準装着される18インチタイヤで十分ではないか。19インチタイヤはスタッドレスなどを買うときに高くつくのが難点だし、雪用のタイヤを別サイズにするとホイールを2セット買わなければならなくなる。

今回はオフロードに持ち出すことがなかったので4WDの性能を試すことはできなかったが、オンロードの性能の高さがBMWのSAVの特徴でもある。初期モデルの20iで高速レーンチェンジを試したときも、ほとんどロールすることなく安定した姿勢でラインを変えていく。195mmもの最低地上高を感じさせることのない安定した走りはBMWならではだ。

試乗車は最上級グレードなので543万円の価格が設定されているが、2.0リットルの自然吸気エンジンと6速ATを搭載したFR車なら、400万円を切るグレードがいろいろと用意されている。積雪地以外のユーザーにはこれが現実的な選択になるだろう。

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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