宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、第一期水循環変動観測衛星「しずく」が捉えた南極の海氷データの南極地域観測隊「しらせ」・「海鷹丸」への提供を開始した。
第54次南極地域観測隊では、「しらせ」による昭和基地への物資の輸送、海洋観測、また、東京海洋大学の練習船「海鷹丸」による海洋観測を実施する。
南極の海氷は、動かない厚い定着氷と、風や海流で移動する流氷があり、流氷域を効率的に航行するためには、変動する海氷の情報が重要。天候に左右されず海氷を観測することができる「しずく」の観測データを利用することで、航路の海氷状況の把握が可能となる。
現在「しらせ」は、流氷域を通過し定着氷に突入しており、昭和基地を目指している。流氷域の航行では、「しずく」から即時提供される海氷データも現場の航路計画に利用された。「しらせ」は、昭和基地への物資輸送後海洋観測を行う予定で、観測地点までの航行や観測地点の選定にも「しずく」のデータを利用する。
「海鷹丸」は、12月下旬から東経110度線に沿って南方へ海洋観測を行う。「海鷹丸」の観測は、海氷がない海域で実施。そのため、「しずく」の海氷データは、現場での航行計画・観測計画立案のための流氷縁や流氷の有無の把握に利用する。
また、今回の「しらせ」の観測・調査によって得られた海氷の厚さや氷況データは、JAXAに提供され、「しずく」の観測データの精度検証に利用される。