【ホンダ CR-V 試乗】ダウンサイズしつつ居住性は向上…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダCR-V
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  • ホンダCR-V(東京モーターショー11)
  • ホンダ CR-V(東京モーターショー11)
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ペット先進国、欧米で愛犬家がこぞって愛用している車種は?意外かも知れないが、SUV比率が高いのである。

見晴らしのいい安心感に満ちた運転感覚、逞しい走破性能はもちろん、ペットフレンドリーポイントとしてSUVならではの使い勝手の良さ、ゆとりある荷室が“選択基準”に挙げられる。

ダウンサイズしつつ居住空間を拡げた

ホンダの新型『CR-V』もまた、シンプルで機能的、愛犬家に相応しいSUVの1台だ。スタイリッシュかつ堂々たる風格あるボディは先代より全長、全高をそれぞれ30mm縮小しダウンサイズ。車高を低くめたこともあって空気抵抗に優れた流麗なフォルムが実現できたというわけだ。

しかしただのダウンサイズではない。室内空間は室内長プラス225mm、室内幅プラス75mmもの拡大。後席居住空間はシート位置を38mm低めたことで頭上空間にも余裕たっぷり。まさにホンダのパッケージマジックである。具体的には身長172cmのボクのドラポジ基準で後席頭上に140mm、膝回りに足がゆったり組める240mmものスペースがあるから文句なしだ。前後席ともにSUVとして例外的に乗降性がいい点も付け加えておきたい。

SUVは車高、最低地上高が高いから、荷室に愛犬を乗せにくいんじゃないか?そう考えても不思議ではない。が、新型CR-Vの荷室フロア高はクラストップの低さの665mm。これは多くのステーションワゴンと変わらない高さ。だから中大型犬なら無理なく飛び乗れる(開口部とフロアとの段差をマットなどで埋める必要はある)。もちろん、リヤドアから後席に飛び乗り、飛び降りることも容易。これは後席座面の適切な高さとドア開口部の間口の広さによるものだ。

荷室フロアは最大幅1345mm、奥行き950~1570mm(後席フォールダウン時)、高さ985mmと広い。大型犬2頭、あるいは大型クレートを乗せても余裕のスペースだ。

ホンダならではのアイデアのひとつが大きな荷物の積載性&後席のアレンジ性だ。荷室をスペースアップするため後席を格納するときは荷室側面のレバーを引くだけのワンアクションで行える。が、駐車条件によってはバックドアを開けられないこともある。CR-Vはそんなときでも問題ない。後席左右横にもアレンジ操作のためのストラップが備わっているからだ。使うシーンや使われ方が考えぬかれ、細部にまで使いやすさを追求しているのがCR-Vでもある。

意外なペットフレンドリーポイント

ではここで、愛犬家、クルマ好きでも気づきにくい、CR-Vの意外なペットフレンドリーポイントを紹介しよう。

まず、ECONスイッチ。ホンダ独自のECONスイッチをONにするとよりエコな走りのモードに切り替わる。アクセル操作に対してより穏やかな走りになり、前後Gで緊張しがちな犬にとって一段と快適にドライブが楽しめるようになる。犬は強い走行Gがかかると爪を出してふんばる習性があり、それがストレスになるわけだ。もともとアクセル操作に対してジェントルにジワリと加速するCR-Vだが、ECONスイッチをONにすることでさらにゆったりした(人間にとっても)快適な走りになるのである。

次にパドルシフト。24G(AWD)にはステアリングから手を離さずシフトアップ/シフトダウンできるパドルシフトを完備する。「それってスポーティに走るときのもの?」と決めつけるのは間違い。下手にブレーキを踏むよりスムーズにスピードコントロールできるため、不快な前後Gがかかりにくく、人も犬もより快適にドライブを楽しめるのだ。

標準装備が充実

さて、新型CR-Vのモデルラインナップは国内専用の2リットルエンジン+CVT(FF)の20G、および2.4リットルエンジン+5AT(AWD)の24Gの2種。どちらにも車両安定装置のVSA、ヒルスタートアシスト、アクティブコーナーライトなどの安全装備、ディスチャージヘッドライト、本革巻きステアリング、左右独立温度コントロール式フルオートエアコンディショナーなどが標準化されている。プッシュエンジンスタート/ストップスイッチはスポーツカーを思わせる赤色だ。

より大人っぽい落ち着き感があり、大人の遊び心を刺激してくれる走りを味わえるのが24Gだ。新リアルタイムAWDによる走行シーン、路面、速度を問わない鉄壁の安定感と、ダンパーのスムーズな動きが演出する上級感・上質感たっぷりの乗り心地は、もはやSUVというジャンル、クラスを遥かに超えたレベルにある。駆動力は出足はAWD、巡行中はFFに自動的に切り替わり、活発な加速感と、大人のSUVに相応しい先代比-2dbという巡航中のハイレベルな静粛性を両立する。

一方、20GはSUVらしからぬ軽快感に満ちたドライブフィールが特徴だ。2リットルでも先代2.4リットルモデル並みの動力性能の持ち主で、その走りは適度なキビキビ感あるもので爽快かつ新鮮。こちらも巡行中はごく静かだ。10-15モード燃費はクラス最上の15.4km/リットルを達成している。

価格は248万円から

価格は248万円からであり、奥様を説得する好材料にもなる。また、メーター外側左右にはエコドライブのコーチング機能となるリングが備わり、エコな運転モードに入ると緑色に点灯。それを意識して走れば自然とエコなドライブができるから、買った後も財布に優しい。

ところで、自称(!?)自動車評論犬の愛犬マリア(ラブラドールレトリーバー メス6歳)もCR-Vが大のお気に入りである。「このクラスのSUV最上級の乗り心地の良さ、快適さ、静かさ、広さに加え、大人っぽい落ち着き感あるスタイリッシュさとアクティブテイストを両立したデザインが魅力的。パパももう50代なんだから、そろそろこんなクルマどう?」なぁんてマリアに言われているところである。

青山尚暉|モータージャーナリスト
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。オーディオ評論、ペット(犬)、海外旅行関連のウェブサイトも手がける。

《青山尚暉》

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