【トヨタ アクア 発表】細部にまでデザインにこだわって欧州車的雰囲気

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発売後1か月で約12万台もの受注を集めたトヨタ自動車のコンパクトハイブリッドカー『アクア』。燃費が良いのはもちろんのこと、軽量な車体とエネルギー効率の高いパワートレインの合わせ技で、とても小気味よく走る。

そのアクアのもうひとつの特徴が、躍動感豊かなエクステリアデザインだ。後方に向かって厚みを増していくルーフラインなど、同じく関東自動車製のミニバン『プリウスα』との近似性を感じさせる部分もあるが、全体としてはむしろトヨタの欧州向けサブコンパクト『アイゴ』に近いイメージ。彫りの深い抑揚を持つサイドパネルや、シトロエンのプレミアムコンパクト『DS3』的な、強い存在感を持つフロントマスクなど、欧州車的雰囲気を持つ。ボディカラーも有彩色が多く、この点も欧州っぽいところだ。

欧州ではアクアは販売されず、『ヤリス(日本名:ヴィッツ)』のハイブリッド版を投入する予定だというが、デザイン、クルマの仕上がり、動的性能などを勘案すると、アクアのほうがずっと向いているのにとすら思わされる。

トヨタの国内向けモデルのデザインは比較的あっさりめのものが多い。そのなかで、アクアになぜこういうスタイリングが与えられたのか。

「アクアのデザインは欧州車的と言われる方は結構多いですが、われわれは最初から欧州的デザインを目指したわけではありません」

チーフエンジニアを務めた小木曽聡氏は語る。

「せっかくの軽量コンパクトなハイブリッドカーをつくるのに、特徴の薄いつまらないデザインにはしたくなかった。5ナンバーサイズの限られた寸法の中で、そぎ落とせるところを思い切って落とし、ボディ側面のホイールアーチ部分などもぐっと隆起させました。これだけ凹凸があるデザインは、国産のコンパクトカーではなかなかないというくらいに。一方、欧州車を見ると、存在感や造形の特徴を出すため、最初からそういったデザインプロセスを取っているモデルが圧倒的に多いんですね。それで結果的にアクアが欧州車っぽいというイメージを持たれるんだと思います」

単に見た目が情感豊かなだけではない。フロントドアミラー部に向かって大胆に落とし込まれた特徴的なサイドウインドウは、運転席からの側方視界をとても良いものにしている。ドアミラーのほうに目をやると、車体にかなり近い路面までハッキリ視認できるのだ。そういった視界の良さは運転のストレスを軽減するのにとても役立つ。これも欧州製コンパクトとわたり合える部分だ。

小さな欠点として挙げられるのは、リアドアのグラフィックスが後ろに向かってぐっと落とし込まれているため、後席の開放感が犠牲になっていること。スペース的には頭上空間、足元空間ともコンパクトカーとしてはかなり優秀なのに、閉所感が強いために広いと感じられない。リアドアガラスをプライバシータイプでなく普通のグリーンガラスにしたら採光で広さを感じさせられそうだが、レスオプションの設定はない。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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