日産自動車のカルロス・ゴーン社長は29日、日経ビジネス誌が東京で開いた「2011東京国際自動車会議」に出席し、円高を放置したまままの政府・金融当局に強い不快感を示した。
ゴーン社長は、過去最高値水準に張り付いた円高について、「(生産移転により)雇用が外国に出て行っている。これは会社の心配ではなく、国家レベルの深刻な問題」と強調した。
また、政府関係者からは「『注視している』、『円高は進行させない』など、多くの発言があっただけ」と批判した。そのうえでゴーン社長は「スイスを見てほしい。解決策はある。実行するか否かだ」と、ユーロに対する自国通貨高の進行に歯止め策を打ち出したスイスを引き合いに出し、政府に是正策の実行を求めた。
さらに、通貨ウォン安の追い風を受ける韓国の自動車メーカーと、日本メーカーの勢力拡大に差が出ていることについて「韓国のライバル社には敬意を表し、注視している」としたうえで、「われわれは通貨での優位性を求めているのでなく、(韓国メーカーに対する)ハンディキャップを是正してほしいということだ」と語った。