まず感じたのは、これは『フィット』と比較するべきクルマではない、ということ。名前こそフィットの一員のようだけれど、キャラクターはまったく違うクルマに仕上がっている。
最初に試乗したのはハイブリッド。しかも後席からチェックした。ものすごい静かさと、高級車と言ってもいいくらいの乗り心地の良さ。レザーシートはたっぷりと膝まで座面があって、リラックスできる。そして運転席に移ると、インパネの造形がフィットそっくりなのは残念だけど、やっぱりステアリングの操作感などがしっとり上質で、落ち着いてドライブできる。ただ高速では、もう少しステアリングに剛性感があってもいいかな、と思った。
そして次にガソリンモデル。一般道でも高速でも、余裕たっぷりの走りに驚いた。こちらはステアリング剛性もバッチリで、コーナリングが頼もしい。
ラゲッジの広さ、使い勝手はさすがの出来映え。つまり『フィットシャトル』は、コンパクトカーの枠にはまらない走りと実用性、そしてエコ性能を持ちながら、フォーマルにもカジュアルにも乗れる柔軟性のある1台なのだと感じた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
まるも亜希子|カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。現在は雑誌・ウェブサイト・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー(2010-2011等)選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。