東芝は6月16日、二次電池SCiBが、三菱自動車の電気自動車(EV)『i-MiEV』と『ミニキャブMiEV』に搭載される電池モジュールとして正式採用されたと発表した。
SCiBセルは、負極に独自の材料を採用することで、急速充電性能、長寿命性能を持ち、低温下など過酷な使用条件下でも短絡や劣化の原因となるリチウム金属が析出しにくいという特長を持つ。同社による性能評価では、SCiBセルを組み合わせた電池モジュールは、電池の定格容量に対して実使用範囲が広く、さらに回生能力が優れているため、電力消費量が一般的なリチウムイオン電池との比較で約1.7倍優れている。
このため、搭載する電池容量を減らすことができ、車重の軽量化や車両の価格低減に貢献する。三菱自のi-MiEVやミニキャブMiEVに搭載されるのも、実質購入価格200万円以下の低価格グレードとなる。
このSCiBは、国内で標準化が進んでいる急速充電規格「CHAdeMO」方式の最大電流で充電した場合、15分で電池容量の80%、10分で半分、5分で4分の1程度の急速充電が可能との結果が得られており、一般的なリチウムイオン電池との比較で、約半分の時間で充電が可能となる。
さらに、充電時の発熱量が少ないSCiBの特性により、電池モジュールを冷却するための電力を省くことも可能。さらに、SCiB電池モジュールの充電・放電の繰返し回数は一般的なリチウムイオン電池と比較して2.5倍以上で、将来のリユース用途にも貢献する見込み。マイナス30度の極寒の環境下でも急速充電と走行が可能で、寒冷地でも利用できる。
Evやプラグインハイブリッド車(PHV)などの次世代環境車両は市場拡大が予測され、2015年度にはグローバルな車載向けリチウムイオン電池市場全体で約1兆円の市場規模が見込まれている。東芝は、モーターやインバーター、二次電池などのパワーエレクトロニクス関連事業で、2015年度までに売上高8000億円を目指しており、この中核部品の一つであるSCiB事業にも注力している。
2月から新潟県柏崎市でSCiB量産工場での生産も開始しており、今後も市場での需要の増加にタイムリーに対応できる体制を整え、電気自動車向けSCiB事業の拡大を図る構え。