JTBグループのツーリズム・マーケティング研究所は、東日本大震災が消費者の日常生活やマインドに与えた影響と、消費や旅行への意欲・志向について調査を実施した。
震災から2か月を経た5月6~8日にかけて首都圏、中京圏、関西圏の500人に対して調査を実施した。今回で2回目となる。
調査結果によると「震災が日常生活に及ぼした影響」の有無を訊いたところ、約3分の1が「震災後、行動が変化したが、今は完全に地震以前と同じ状態に戻った」と回答。
地域別では、首都圏で「震災後は行動が変化したが、今は完全に地震以前と同じ状態に戻った」が多い。
急速なインフラの復旧や物流の安定化によって首都圏に日常が戻りつつあることを示した。これに対して、中京・関西では80%以上が「これまで通りの日常生活を送っている」。地震後約2か月が経過した今も「日常生活における行動に変化がある」と回答した人は全体の26%にとどまり、4月8~12日に実施した第1回目の調査の69%から40ポイント以上減少した。
首都圏では他地域よりも「日常生活における行動に変化がある」と回答した人の割合が高く、36.6%となった。「行動の変化」の中では、「家庭や職場での節電」に対する意識の高まりが最も多い。夏の電力不足が想定される首都圏や、浜岡原子力発電所の停止が決定した中京圏などで、節電を意識した行動が定着しつつある。
「災害状況が悪化するかもしれないので不安」と感じている人は、前回調査時の70.6%から減少したものの、51.8%と半数を超えた。福島第一原子力発電所の放射能事故の先行き、余震や誘発地震などに対する不安は、依然として残っている。
「積極的に買い物したり、出掛けたりして元気を出したほうがいい」と思っている人は、前回調査から13.6ポイント増の64.4%となった。「娯楽を控えようと思う」は前回調査から10ポイント減少し、15%未満となった。
「大震災の影響で、ゴールデンウィークの過ごし方が例年と変わった」人は首都圏で23.2%。関西圏では6.0%、震災の影響がゴールデンウィークの活動に与えた影響は軽微だった。過ごし方の変化では「あまり家から出ないようにした」が33.3%、「アウトドアを控えた」が12.3%と、屋外での活動を控える行動が目立った。ゴールデンウィーク中、国内に日帰りや泊りがけで出かけた人は、全体の約30%だった。
今夏の旅行計画について、国内旅行は「計画済み」「検討中」の合計が38.0%、海外旅行は計16.0%となった。旅行の意欲はあるものの、具体的な検討段階にはないと答える人が約半数の45.4%。「旅行しない・したくない」は8.4%だった。
夏の旅行が未定の回答者にその理由を訊いたところ「節約・貯金したい」が26.4%で最も多く「同行者の都合が合わない・わからない」、「休みが取れないと思う」なども多かった。震災で「罪悪感がある」「世間体が気になる」など、震災にかかわる心理的な要因は2%に満たない結果となり、自粛ムードは解消した模様だ。