気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年5月10日付
●浜岡原発停止受け入れ、中部電、停電回避見込み(読売・1面)
●東電株国が取得案、賠償へ経営関与強化(読売・1面)
●浜岡原発停止、東海の工場ショック、車、飲料、生産移管した矢先(読売・9面)
●カーナビも地デジン化、7月24日完全移行(読売・15面)
●跳ね馬価格も跳ねた、公売フェラーリ落札、最高値2280万円で(読売・29面)
●GW、高速で混雑、鉄道は利用減(読売・33面)
●インド新車販売、伸び鈍化、4月、インフレ・利上げ影響(朝日・7面)
●カーナビ画面に実写、パイオニア、業界初(朝日・8面)
●東芝、黒字に回復、今期も増収増益見込む(朝日・8面)
●TPP結論先送り、自由化推進堅持表明へ(産経・1面)
●VW、独トラック大手の買収計画(産経・8面)
●ガソリン、11週ぶり下落(産経・9面)
●「首相のパフォーマンス」経団連会長強く批判(東京・2面)
●電機、商社、自動車、採用、震災後も減らさず(日経・3面)
●3社に1社「減収減益」見通し調査、被災や風評被害(日経・4面)
●富士重社長に吉永専務、国内営業トップ、森社長は会長に(日経・9面)
●スズキがコンサル会社、グループに経営助言、合議組織向けも(日経・11面)
ひとくちコメント
中部電力が浜岡原子力発電所の全炉を数日中に停止することを決めた。菅直人首相が緊急記者会見で停止を要請したのは6日夜のこと。わずか3日後に受け入れたことになる。
きょうの各紙が「浜岡原発停止受け入れ」(読売)などと、1面トップなどで取り上げているが、朝日、産経、東京が「苦渋の決断」、読売が「苦渋の受諾」、日経が「苦渋の結論」と、首相からの唐突の要請に、中部電が結論を出すまでに社内の意見が割れていたことが読み取れる。
そこで気になるのは、中部電の電力量は、大口(工場)向けが全体の約4割以上を占めていることだ。中部地域には、お膝元のトヨタ自動車が、国内にある17車両工場のうち9工場が、愛知県を中心とした東海3県にかたまっているほか、スズキやホンダ、ヤマハ発動機などの自動車、二輪車完成車工場、自動車部品メーカーなどの大型工場が集積している。
「浜岡原発停止、東海の工場ショック」(読売)、「製造業、夏の電力綱渡り」(日経)などと、企業の生産計画に支障が出る懸念が浮上しているとも伝えている。そんな中、朝日によると、スズキの鈴木修会長兼社長は「停止はやむをえない。要請を受けられたのは良かった」と、中部電の判断を評価。
夏場の電力不足についても、鈴木氏は「ぜいたくになりすぎていた生活を正常に戻す意味で、節電を大いに歓迎する。ナイターをやめるとか、ネオンをやめるとか実用に影響がないことをやれば、30%ぐらいは節約できる。節電がコスト削減につながり、日本の産業発展にもつながる」と持論を展開したという。
また、 ヤマハ発動機の柳弘之社長も「今回の対応は理解できる」と、評価するコメントを発表している。トヨタやホンダ首脳からのコメントは見当たらないが、「輪番休業」の根回し役を先導したり、浜岡原発停止を評価したりと、意外にも自動車業界が冷静に受け止めている点がいぶかしい。