気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2011年4月5日付
●福島第一原発、低濃度汚染水海へ放出、1万1500トン「高濃度」貯蔵へ(読売・1面)
●東電、賠償金仮払いへ、損害確定前に、避難住民ら対象(読売・1面)
●西日本で増産、キヤノン検討、電力不足対策で(読売・8面)
●円安基調進み84円台6カ月ぶり、日米金利差拡大予想で(読売・9面)
●採用「増やす」倍増、100社調査、震災で変更の可能性(朝日・6面)
●新日鉄、タイに新工場、2013年稼働、外需獲得着実に(朝日・8面)
●「生涯スポーツ社会を」張・日体協新会長が抱負(毎日・14面)
●日産生産台数計画の40%に国内4月(東京・5面)
●ガソリンなお行列、東北地方フル稼働できず、被災者の不安拍車(東京・22面)
●温暖化ガス削減達成困難に、議定書の例外扱い要請、罰則回避へ 政府、原発事故受け(日経・1面)
●社債発行枠を設定、マツダ1000億円、日産は2500億円(日経・15面)
ひとくちコメント
東日本大震災直後に戦後最高値1ドル=76円25銭まで急上昇した円相場が反転し、円安方向に傾いている。4日の東京外国為替市場で円相場は84円40銭の安値を付けたほか、週明けのニューヨーク市場でも84円01~11銭と円安・ドル高傾向が続いている。円は対ユーロでも続落。1ユーロ=120円台まで下落している
きょうの各紙をみると、日経は「円、先安観じわり」とのタイトルで掲載。東京は「円一転、全面安に、欧米利上げ観測で加速」などと取り上げている。読売は「米国の景気回復期待や金利の先高感で日米の金利差が拡大するとの見方が一因だが、震災の打撃で日本経済の先行き懸念も強まっており、これまでの円高傾向が大きく変わる可能性も出てきた」と指摘する。
円安が進めば、自動車などの輸出企業の競争力は強まる。だが、震災後の工場の操業停止で、円安が進んでも輸出の増加は期待薄。一部の部品調達が困難になっているのに加え、計画停電の影響で電力供給が不十分なことから、メーカー各社とも極めて低い稼働を余儀なくされている。例えば、東日本に拠点のある富士重工では北米などでの新車販売が好調にもかかわらず「震災後の生産はゼロ」(業界関係者)という。
さらに、放射能汚染の風評被害の影響で、一部の船舶会社が東日本にある港からの輸出向けの自動車専用船の運航をキャンセルするという、パニック的な混乱もみられる。待望の円安基調でも、多くの難題を抱える自動車業界にとって手放しでは喜べないようだ。