【新聞ウォッチ】一体何だったのか? トヨタ車急加速、米運輸省「シロ」判定

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2011年2月9日付

●中国0.25%利上げ、10月以降3回目(読売・1面)

●トヨタ営業益5500億円、3月期予想、新興国で販売好調(読売・2面)

●高速無料化「夜間・大型限定」新設、5区間1500キロ物流効率化を検証(読売・9面)

●鉄道ジオラマ「日本最大」合戦、嵯峨野鉄道とJR東海、2平方メートルの差(朝日・15面)

●街角景気、3カ月ぶりに悪化、1月、寒波で客足鈍る(東京・9面)

●自動車7社、回復率に格差、ホンダが先行、最高益の88%(日経・8面)

●人こと:公取委は世界動向ふまえ判断を、日本自動車工業会・志賀俊之会長(日経・9面)

●いすゞ、純利益60%増、10-12月178億円、新興国で商用車好調(日経・13面)

ひとくちコメント

トヨタ自動車が発表した2010年4~12月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比で約8倍の4221億円、最終利益は3.9倍の3827億円と大幅な増益となった。また、2011年3月期の連結業績予想でも営業利益を10年11月公表時の3800億円から5500億円に上方修正している。

「トヨタ自動車の収益が回復軌道に乗ってきた」と、きょうの日経が書き出しているように、各紙とも「トヨタ、営業利益3.7倍に」(朝日)、「トヨタ、営業利益8倍」(産経)などと、順調な回復ぶりを示す見出しが紙面を飾っている。しかし、記事をよく読み込んでいると、気になるのは各紙がそろって使っている「ただ」という接続詞の後の部分。

例えば、朝日はリードで「ただ、売上高規模で半分以下のホンダの利益を下回り、回復ベースは緩やかだ」と指摘。日経も「ただ、本格回復には課題も残る。金融危機前の08年3月期と比べた回復度では、ホンダなどが先行している」としている。産経は逆接「しかし」を使って「北米市場での地盤沈下、出遅れが目立つ中国市場、そして、国内の赤字が足を引っ張るという課題も身浮き彫りになっている」と、懸念材料を具体的に示している。

こうした中、きょうの早朝には、トヨタ自動車のリコール問題を調査していた米運輸省が約10か月に及ぶ調査の結果を発表。各メディアの電子版報道によると、「電子制御システムに急加速を引き起こすような欠陥は見当たらなかった」と結論付けたという。

この「シロ」の判定は、地盤沈下の北米市場で消費者の信頼回復につながる可能性もあるだけに、トヨタにとっても朗報だが、1年前のあのバッシングの集中砲火は一体何だったのかと、改めて問いたい。

《福田俊之》

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