レクサス『CT200h』はハイブリッド専用車である。ハイブリッドは環境に優しいクルマというイメージが強くある。しかし一方で、「走りが物足りないというイメージを持っている方が非常に多いと思うのです」と話すのはデザイン本部レクサスデザイン部グループ長の田名部武志さん。
そこでCT200hは、ハイブリッド専用車ではあるが「レクサスのプレミアムコンパクトとして、ダイナミックに走りを感じさせるスタイリングというところをまず作り、その後、ハイブリッドとして必要な空気の流れをコントロールするような順序で、デザインを開発したのです」という。
ダイナミックさはあるスケッチに表れているという。そこには、「四隅に踏ん張った力強いタイヤ。そして、ウェッジシェイプにしたのでスポーティというのではない、強い塊り感やラインがあるのです」という。また、「ハイパフォーマンスを感じさせるフードのしっかりした塊りの存在、それに対して、Aピラーがタイヤに対して良いところに佇んでいるスタンス、そういったエッセンスがこのクルマにあるように感じたのです」。その1枚から全てがスタートしたのだ。
このスケッチは、「若いデザイナーが試行錯誤をし、手を動かして描いたり、コラージュしたりした結果です。実際には全高がもっと高かったり、タイヤももう少し小さい。そんなリアルなパッケージの中でも、この持っているメッセージを何か出せるはずだという、その抽出が一番デザインで苦労したところです」。
最後に田名部さんは「(レクサスとして)様々なデザインのロジックや考えはあり、それはもちろん織り込みました。しかし、最後に終わってみて、“あ、カッコいいじゃない!”という一言が欲しいという思いでデザインしたのです」と思いを語った。