【新聞ウォッチ】一難去ってまた一難、円高で“板挟み”の豊田社長

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2010年10月19日付

●習近平氏、胡錦涛主席後継に、軍事委副主席選出(読売・1面)

●中国3日連続デモ、武漢当局暴徒化は阻止(読売・2面)

●三洋電機が新工場、リチウム電池国際競争加速(読売・10面)

●製造業の海外移転続けば、300万人雇用喪失も、経団連試算(読売・11面)

●日航、年度内に更生終了、4行3000億円融資方針(朝日・1面)

●車国内生産継続へ もの申す トヨタと日産社長が政策に(朝日・8面)

●KDDI「禁断アプリ」で追走、スマートフォン新機種に、無料電話「スカイプ」機能(朝日・11面)

●トヨタ社長、日本でものづくりこだわる、「この国に危機感」国内雇用維持を強調(毎日・7面)

●燃費向上、GT-R新モデル(産経・11面)

●道路保全センター解散、対象法人で初めて、仕分け年度末に事実上(東京・1面)

●想定レート、企業、下期80〜85円、円高に見直し、業績の重荷に(日経・1面)

●車・住宅の電力管理システム、トヨタ、新興国で販売へ(日経・9面)

●インド二輪車大手、ホンダが全株売却か、現地メディア報道(日経・9面)

●国内自動車大手3社、米販売奨励金、最高水準に4〜9月27%増(日経・13面)

ひとくちコメント

15年ぶりの円高など製造業にとっては厳しい経営環境に直面しているが、トヨタ自動車の豊田章男社長は「(国内の生産縮小を)トヨタがやったら、この国はどうなってしまうんだという危機感がある。よほどのことがない限り、海外に持っていくことはしない」と語ったという。

トヨタは看板車種『カローラ』の輸出を取りやめ、現地生産に切り替える計画を検討中などと報じられたのを受け、豊田社長が記者団の質問に応じたもので、きょうの各紙が取り上げている。

トヨタは雇用の維持や地域貢献のため、国内の年間生産320万台を維持する方針を打ち出している。急激な為替変動についてはこれまでほとんど発言しなかった豊田社長だが、ようやく重い口を開いて、厳しい経営環境でも安易に生産を海外移転せず、国内の雇用維持に全力を挙げる考えを示したものとみられる。

ただ、豊田社長は「トヨタグループはものづくりをなくしてはいけないというこだわりをもっている」としながも「理屈で考えたら、日本でつくることはあり得ない。(韓国や中国メーカーなどと)競争相手にならない」とも述べたという。このため、政府に対しては「自動車産業を成長戦略の軸に持ってきてほしい」と注文を付けたそうだ。

国際競争力の強化と国内生産体制の維持という板挟みの中で、「こだわり」と「理屈」とのバランスをどう取るのか。一難去ってまた一難、再び難しいハンドリングを迫られている。

《福田俊之》

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