2008年の『AVN Lite』が販売目標の2倍という実績をあげた富士通テン・イクリプス。2010秋の新モデル『AVN110M』『AVN110MBC』ではSDHCカードのメモリ容量を4GBから8GBに倍増、市街地図への対応(有償ダウンロード)、液晶解像度のアップ(EGA→WQVGA)、そしてLEDバックライトを新採用するなど、多岐にわたる改良が加えられた。
一方で、イクリプスとしては初となるPND『EP001』もついに投入。5V型液晶に8GBの内蔵メモリ、GPS+ジャイロ&加速度センサーの高精度測位、そしてBluetoothによるハンズフリーやオンデマンドVICS(ケータイMapFanとの契約が必要)に対応するなど、ナビ機能においてはAVNにひけを取らない。低価格AVNのプライスリーダーとしてシェアを伸ばしてきた富士通テンだが、この両モデルが市場で食い合うことはないのだろうか。
製品統括部のアフターマーケット推進部中村文武氏は、「AVN Liteでは、PNDを目当てに買いに来たお客様に“あと2〜3万円足せばAVNが買える”と思っていただいてAVN Liteを選んでいただこう、という目論見もありました。しかしフタを開けてみると、そういうお客様を予想よりも取り込めなかった。AVN Lite自体の売れ行きは好調だったのですが、AVNを買いに来るお客様とPNDを買いに来るお客様とでは、求める製品がハッキリと異なる、ということが分かりました」と語る。
AVN LiteでPND購入希望者を取り込めなかったのは反省材料ではあるが、PND関心層がAVNに興味を示さないのであれば、イクリプスブランドでPNDを出してもAVNの市場を脅かす心配はない、ということになる。
「PNDとAVN Liteとは共存できます。EP001には、台数ベースのシェアを押し広げていく役割を担ってほしいですね。また、われわれはまだ家電量販店へのチャネルを得ていませんので、EP001が販路拡大に貢献してくれれば」(中村氏)と期待を寄せる。
5万円台のPND商戦はサンヨー『ゴリラ』やパナソニック『ストラーダポケット』そしてカロッツェリア『エアーナビ』などビッグネームが名を連ねる激戦市場だ。AVNでのシェア拡大の勢いをPND市場へ持ち込んで、念願としているナビ市場シェア20%を達成できるか。