アウディの一般的な生産ラインではなく、ハイパフォーマンスモデル専用の「クワトロGmbH」で最終組付けがおこなわれる『RS5』。エンジンも熟練工が1基ごとに手作業で組み付けるなど、1204万円という値段に見合うスペシャルな仕立てになっている。
一部のファンは、「RS」なのにエンジンの形式が「S」と同じV8の4.2リットルであることを気にするかもしれない。「たしかにどちらもV8の4.2リットルで、形式でいえば一緒です」とアウディ・ジャパン商品企画部長の野田一夫さん。
「しかし、吸排気系や燃料噴射などを改良したことで馬力が96ps上がっています。非常にゆとりがあるエンジンです」。
RS5に積むV8エンジンで注目したいのは、最高出力を発生する回転数が8250rpmときわめて高いこと。9000rpmまで刻むレブカウンターは伊達じゃないのだ。
そしてこのエンジンを、アウディのほかのモデルと比較してみると実に興味深い。なんと、『R8』のV8モデルよりもハイパフォーマンスなのである。R8とRS5を比較すると、最大トルクは430Nmと同一ながら、最高出力はR8が309kW(420ps)なのに対してRS5はそれを上回る331kW(450ps)。強靭な心臓を持っているのだ。0-100km/h加速のカタログ値は、いずれも4.6秒となっている。