中型以上のモデルで展開
ホンダは2012年にプラグインハイブリッド車(PHV)を日米市場に投入する計画を明らかにした。ホンダのHVは、これまですべて駆動力はエンジンを主体とするIMA(インテグレイティド・モーター・アシスト)方式だったが、家庭のコンセントから充電でき、EV(電気自動車)走行の範囲も広げられるPHVを新たに加える。
伊東孝紳社長はPHVを「中型以上のモデル」に設定すると述べており、まず『アコード』から展開する見通しだ。バッテリーには現行のHVに搭載しているニッケル水素電池より容量が大きく、コンパクトにできるリチウムイオン電池を採用する。
PHVは、トヨタ自動車が昨年末から日米欧で600台を法人向けに試験販売した『プリウスPHV』を11年末からは一般販売する計画であり、先行している。プリウスのPHVは、通常のプリウスをベースに電池容量を4倍に増やし、EV走行の可能距離を伸ばしている。モーターを2基搭載するなど基本システムはプリウスと同じシリーズ・パラレル式だ。
◆クラスによってIMAと棲み分け
また、米GM(ゼネラルモーターズ)が「EV」として年内に投入する『シボレーボルト』は、モーター1基のほか発電専用に1.4リットルのエンジンを搭載しており、シリーズ方式のPHVとなる。ホンダのPHVのシステム構成は明らかにされていないが、伊東社長は年内には技術発表する方針を示している。
ホンダは現行のIMAによるHVも今秋に『フィット』に新搭載して発売するほか、来年には『シビックHV』を全面改良する。シビックから下のクラスの小型車はシステムが簡便で比較的コストも安いIMA、アコード級以上はPHVと棲み分けを図りながらHVのバリエーションを拡大していく。
◆2015年にはHVシリーズを1割以上に
次のステップでは車両重量の大きいミニバンについてもPHVを設定することになろう。伊東社長は「最近一番興味があり、力を入れているのはPHV」とし、搭載車種も順次増やす意向だ。
同社の近藤広一副社長は、2015年までの中期展望として、世界販売のうち現状では5%にとどまっているHVシリーズ(PHV含む)の比率を10%以上にしたいという。ホンダはEVについても12年に日米を手始めに発売するが、その主な狙いは米カリフォルニア州で強化されるZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)規制の強化に対応するためだ。
EVは電池の性能や価格がネックとなり「(環境対応車の)主力となるのは、多分2020年ではあり得ないし、30年でも難しい」(伊東社長)と見る。1年前の社長就任時に示した「当面は迷うことなくHVに開発資源を注ぐ」(同)方針をもとに、ホンダは突っ走る構えだ。