米国人唯一のWRC(世界ラリー選手権)ドライバーとして知られるケン・ブロック選手。フォードモーターは21日、ブロック選手用のジムカーナマシン、「フィエスタ・ジムカーナ3」を公開した。
ケン・ブロック選手は、1967年米国生まれ。2005年にラリー活動を開始し、この年のラリーアメリカのルーキーオブザイヤーに輝いた。06年にスバルラリーチームUSAに加入。ラリーアメリカにおいて、06年2位、07年3位、08年2位の成績を残している。また、ケン・ブロック選手は若い世代に人気の「DCシューズ」の創設者としても知られ、ビジネス界でも成功を収めている人物だ。
ブロック選手は、スバル『インプレッサWRX STI』を自由自在に操るテクニシャンとして有名だが、10年はマシンをフォード『フォーカスRS』にスイッチ。しかもラリーの最高峰、WRCにステップアップした。WRCの歴史において、フル参戦する最初の米国人ドライバーという栄誉付きだ。また、ラリーアメリカには、『フィエスタ』ベースのマシンで参戦している。
2009年までブロック選手は、栄養ドリンク大手のレッドブルが運営する「レッドブルレーシング」に所属していた。しかし10年からは、ライバルのモンスターエナジーがWRC参戦のために設立した「モンスターワールドラリーチーム」のエースドライバーだ。スバルからフォードへ、そしてレッドブルからモンスターエナジーへと、ダブル移籍となった。
いまやWRCドライバーとなったブロック選手だが、ジムカーナには特別な思い入れがある。それは、ブロック選手の名前を広めたのが、ジムカーナだったからだ。2008年、ブロック選手のジムカーナでの驚異的なテクニックを紹介した映像が、動画共有サイト「YouTube」で公開。3000万を超えるアクセスを記録し、ブロック選手は、一気に注目される存在となったのだ。
今回、フォードはブロック選手のために、フィエスタをベースにしたジムカーナ3を製作。2.0リットル直列4気筒ターボは、最大出力850ps、最大トルク91.3kgmというモンスターぶりを発揮する。トランスミッションは6速シーケンシャル、駆動方式はフルタイム4WD。車両重量は1100kgにまとめられ、0-96km/h加速2秒という驚異的な性能を実現する。
ブロック選手はこのフィエスタでジムカーナを行い、その映像を今夏、YouTubeで公開予定。その収録場所やジムカーナに盛り込まれるスタント的な内容は、現時点では極秘だ。ケン・ブロック選手は、「WRCなどのラリー本戦とは違って、ジムカーナはリラックスして楽しめるんだ」と、収録を心待ちにしている様子である。