【BMW グランツーリスモ 試乗】5でも7でもない…松田秀士

試乗記 輸入車
5シリーズ グランツーリスモ
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Mクーペを思い起こさせるようなサイドビューがなかなかスタイリッシュ。BMWの4ドアモデル初というフレームレス・ウインドウが開放的だが、反面ユニークなツインテールゲートのリヤガラスは小さく、ボディ剛性を確保するための苦心が伺える。ただし、大きなNAVI画面にリヤビューカメラの映像とコーナーセンサーの障害物情報が同時に表示されるので、駐車などはとても扱いやすい。

ボディの基本は『7シリーズ』。しかし、ディメンジョンは独自のもので『5シリーズ』でも7シリーズでもない。注目は7シリーズと同じ3070mmのロングなホイールベースがもたらす後席の広大なスペース。それゆえ直進時の落ち着いた安定感と乗り心地が素晴らしい。ハッチバックゆえ、リヤのバルクヘッドを持つセダンに比べて走行ノイズを危惧したが、それほど気になる種類のノイズではなかった。

前後50:50の理想的重量配分を実現しているそのハンドリングは、とても素直。試乗したのはV8ツインターボの550iだったが、低速域から十分なトルクがあり、もちろん踏み込めば407psを発生する高回転まで振動感のないスムーズなエンジンだ。600Nmという強大なトルクを1750rpmから発生するが、アクセルの踏み込み量に従順で市街地でも乗りやすい。

シフトセレクトレバー横のダイナミック・ドライブコントロールのスイッチを押せば、コンフォート、ノーマル、スポーツ、スポーツプラス(スタビリティコントロールOFF)の4種類にエンジンレスポンス、パワステアシスト量、シフトタイミングが瞬時に変化し、それぞれのモードでの乗り味に変化がはっきりしていてとても楽しめる。オプションを付ければアクティブステアリングや可変スタビライザー、そして可変ダンパーも連動して総合制御するので、さらに走りが楽しめる。

値段はやっぱりだが、上品でスポーティ、5でも7でもない新しいBMWの楽しさを感じた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア・居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
スローエイジングという独自の健康法で53歳の現役レーシングドライバー! SUPER GTをランボルギーニ『ガヤルド』で戦っている。INDY500 など海外レース経験も豊富で、確かな知識と国際感覚でクルマの評価を行う。2009-2010日本カーオブザイヤー選考委員。

《松田秀士》

松田秀士

成仏する直前まで元気でクルマを運転できる自分でいたい。「お浄土までぶっ飛ばせ!」をモットーに、スローエイジングという独自の健康法を実践する。これまでにINDY500に4度出場し、ルマンを含む世界4大24時間レース全てに出場経験を持つ。メカニズムにも強く、レースカーのセットアップや一般車の解析などを得意とする。専門誌等への寄稿文は分かりやすさと臨場感を伝えることを心がけている。

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