首都高速5号池袋線の熊野町JCT上りで14日午前11時50分頃発生した、大型トレーラー横転事故は、37時間後に車線規制は解除され、通常に戻った。大型トレーラーの衝突で破損した防音壁は暫定工事を終了し、見た目には事故前と変わらない。
しかし、関係者のショックは隠しきれない。事故現場となったカーブは、昨年8月のタンクローリー横転炎上事故と同じ地点。8月の現場は下層を走る下り車線だったが、下りで起きた事故は上りでも起きるかもしれないということから、上り車線でもカラー舗装で運転者の注意を促す安全対策がとられていた。
「熊野JCT付近のカーブは首都高速で屈指の急カーブというわけではなく、自社ウェブサイトに掲載する危険箇所マップの注意箇所にも入っていない。もともと事故が頻発する場所ではなく、制限速度さえ守ってもらえば事故は起きないはず」(同社広報担当者)。それが1年もしないうちに同じ場所、同じ大型車両で事故が再発した。
事故発生の3日前、同社は10号晴海線の開通にあたって、昨年8月のタンクローリー事故を振り返るパンフレットを配布。パンフレットは国土交通省関東地方整備局と共同で作成された。
その中で、菊川滋局長は「今回の事故で得られた教訓を忘れることなく、必要な道路ネットワークについては、国民的理解の下に早期の整備が必要です」とメッセージを残した。だが事故の教訓で読み取るべきは、道路ネットワークの拡充だったのだろうか。
沈黙する警視庁とともに徹底した事故分析を優先して行い、運転者とともに安全情報を共有できるシステム作りに取り組むべきではないか。