ルノーのコンセプトカー『タリスマン』(フランクフルト・ショーで発表)は、日産のインフィニティ『Q45』用V8エンジンを搭載する4シーターのFRクーペだ。そのデザインについて、ルノーのデザイン担当副社長であるパトリック・ルケモン氏が語った。「ルノーにルケモンあり」と言われる名デザイナーであり、世界的にも流行をリードしている最近のルノー・デザインを引っ張ってきた役員だ。
「キーワードはふたつ。クラシカルとメモライザブル(記憶に残る)です。クラシカルとは全体のプロポーション、つまり、ロングノーズとショートリアデッキに代表される印象です。メモライザブルな部分は、フロントマスクやサイドウィンドゥのグラフィックです。明確なキャラクターがあります。とくに、ゆるやかにウェーブを描くサイドウィンドゥのグラフィクスは印象的だと思います」
「ガルウィングドアという手法は珍しくありませんが、これだけ大きなものはないでしょう。ギネスブックに載ると思います。長さは245cmもあるんです。インテリアが明るく広くなるという効果があります」
「インテリアはシンプルでわかりやすいものです。それと、高級家具のような繊細感をシートなどに表現しました。これから先、クルマの内装は素材面の進歩に助けられると予想しています。タリスマンのシートは非常に薄く作られていますが、素材が進歩すれば、こういうシートも可能になります。部品が小さく薄くなれば、その分だけ人間が使えるスペースは増えるのです」
「また、インテリアについては“タッチデザイン”という表現を使っていますが、人間工学に基づくエルゴノミクスデザインをベースに、快適でユーザーフレンドリーな方向をめざしました。スイッチ類は、初めて乗った人でも操作に迷わないような、感覚的に操作できるような配慮をしてあります」
ただし、このタリスマンは生産を前提にしたモデルではない。いまのところ、こういうサイズの大きいFRモデルは、日産とルノーの協力関係のなかに含まれてはいない。残念だが……。