数回のモデルチェンジとネーミング変更を経て、新型『カムリ』は日本、アメリカ、欧州で共通のデザインとなった。ただ70〜80年代に、GMやフォードなどがワールドカー・デザインを試みたが、結局、仕向け地別のデザインのほうがよいということになった。
たとえば70年代後半、いすゞ『ジェミニ』、シボレー『シベット』、オペル『カデット』は共通デザインの兄弟車だった。しかしその後のモデルチェンジでは別々の歴史をたどっている。なぜ今、カムリはデザインを統合したワールドカーになるのか。
トヨタ・グローバルデザイン企画室の諸星和夫室長は次のように説明する。「デザイン開発で使う言葉なんですが、販売では“ローカル・コア”のクルマとカムリのような“グローバル・コア”のクルマがあります」
「そしてブランドを構成する要素が色々ある中で、たとえばドイツ車はメーカーとしてデザインのアイデンティティがありますが、我々はそこまで至っていません。そこでグローバル・コアのクルマはスタイリングがひとつのブランドになるように意識しています。世界中どこにいても、ああ、カムリはちゃんと走っているな、とわかるようなデザインです」