若い議員に追及され、最後には語気を荒めていたフォードのナッサーCEOとは逆に、ファイアストンのジョン・ランピCEOは終始冷静な口調で語り続けていた。
実はファイアストンの主張も昨年末以来、何ら変わっていない。ただし、こちらは昨年行われた650万本のタイヤリコールについては、一部に製造工程の不具合が生じていたことを認めており、相手の一方的責任を追及するフォードとはだいぶ違う。ブリヂストン傘下に入ったため、情に訴える日本流の戦い方を覚えたファイアストンとも揶揄されるほどだ。
今回の公聴会においても、ランピCEOは昨年のリコール問題が生じたことに謝罪した上で、繰り返すように「今回のリコールと、昨年のリコールは状況が違う」と語り続けた。ファイアストン側は議員団から求められていた第三者機関による調査内容を示し、フォード『エクスプローラー』に何らかの構造上の問題があり、それが横転事故を招くということを示唆。
この適切なデータの提示が功を奏したのか、ジャクソン米運輸副長官はファイアストンの要求を呑む形でエクスプローラーの徹底調査を前向きに検討するという方針を示した。