【新聞ウォッチ】リストラ会見で「パジェロ」展示の無神経

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【新聞ウォッチ】リストラ会見で「パジェロ」展示の無神経
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気になるニュース・気になる内幕——今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2001年2月27日付

○ 三菱自工、9500人削減、名古屋の工場閉鎖へ、経営再建へ新中期計画 (毎日・1面、関連記事9面)

○ セコム、盗難車などの位置を探し当てる検索システム開発、4月からサービス開始(毎日・5面)

○ ダイムラークライスラー赤字転落、2001年1〜3月四半期で営業赤字、「三菱とクライスラー部門の経営立て直しで」(朝日・2面)

○ シュレンプ・ダイムラークライスラーカイ会長「三菱のトラック部門、ボルボとの提携解消検討」と表明(朝日・10面)

○ F1ホンダ2強を追走、来月3,4日豪で開幕戦 (朝日・21面)

○ スズキ、しゃれた外観の「ジムニー」発売(読売・11面)

○ デフレ懸念下の春闘・奥田碩日経連会長vs.鷲尾悦也連合会長(読売・14、15面)

○ マツダ、早期退職に応募、殺到募集定員400人超過(産経・7面)

○ 1月国内自動車生産台数、2カ月ぶり減少、三菱は12.6%減(東京・7面)

○ 8輪で最高時速300㌔、慶大環境情報学部グループが電気自動車を開発(東京・24面)

○ 自販連・滝川博司会長が「今年、国内市場は回復基調」との見通しみ通し(日経・11面)

ひとくちコメント

三菱自動車の新たな経営再建策「ターンアラウンド(巻き返し)計画」が、きのう26日午後、都内のホテルで発表された。「3年で9500人削減」などの骨子を、各紙がけさの紙面で報じている。各紙とも内容的には大きな差はないが、違いは取り上げた方である。

経済面とは別に1面に掲載したのが、毎日、産経の2紙、朝日は2面、日経は3面の総合面。東京は「額賀・前経済財政担当相の弁明」とセットで社説でも載せている。個々の企業のニュースが社説で紹介される例は少ないが、東京と言えば、愛知県が地盤の中日新聞と同じ系列。今回のリストラの対象になっているのが名古屋にある大江工場だけに、「世界規模の合理化によって相乗効果を狙うのはいいが、日本国内の雇用にしわ寄せしないよう最大限の努力を望みたい」という論調も納得できる。

筆者も同感だが、記者会見に臨んだ雰囲気からは、大胆なリストラを断行するにしては少し緊張感に欠けているような印象を受けた。というのも、ホテルの会場には、「パリ・ダカ」で活躍したラリーカーの「パジェロ」を展示、直前まで延々とレースの実況ビデオを流していた。今自慢できるのが「パリ・ダカ」の話題しかないという気持ちはわからないわけではないが、新車発表会などと勘違いしている担当者の無神経さには呆れる。

いまさらクルマの搬送費程度の経費節減をしても遅過ぎるとはいえ「率先垂範」の精神で経営陣が一丸となって取り組む姿勢を示さない限り、ぬるま湯体質からは抜け出せないし、合理化計画も失敗に終わるだろう。

《福田俊之》

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